公認会計士になるための「勉強法」というのは、人それぞれである。本コラムでは、31歳で働きながら公認会計士を目指した筆者の独断と偏見による試験合格に役立つ勉強法を書いていきたい。
今回は、どのような戦略で合格を目指すのかについてみていく。最終合格までの過程はひとつではない。何年で最終合格を目指すのか、あるいは仕事を辞めて挑むのか、受験予備校には通うのか、選択肢はさまざまである。
公認会計士試験は、2006年より新試験制度になった。現行制度は、短答式試験に合格すれば、合格した短答式試験と同じ年度の論文式試験に合格できなかった場合でも、翌年とその次の年の2年間は、短答式試験を受けずに論文式試験から受験できる。
この新制度により、まずは短答式試験合格を目指し、短答式試験合格後、論文式試験合格を目指す勉強をスタートする、という方法も可能となった。
社会人が会計士試験を目指す場合、「仕事を辞めて受験勉強に専念するかどうか」と悩む方も多いだろう。それは、どういう戦略で合格を目指すのかにもつながってくる。
平成29年度の合格者を見ると、社会人などの割合は一定数存在する。仕事をしながら勉強時間を取ることは大変ではあるが、生活にメリハリが出るという面もある。一方で合格者には、無職の割合も一定数存在する。無職である場合、使える時間は多いが、自分で自分の生活をコントロールすることが必要となり、時間の使い方が上手くいかないと、逆に非効率になることも考えられる。
表:平成29年公認会計士試験 合格者調「職業別合格者調」
公認会計士を目指している多くの人が受験予備校のお世話になっていると思う。なかには独学で合格する人もいるが少数である。ほとんどはどこかの予備校(あるいは、複数の予備校)の受講生になる。予備校を受講する場合も、生講義に参加することもできれば、オンラインでも講義に参加することが可能である。
公認会計士試験の受験予備校で多くのシェアを占めるのが、TACと大原である。次回の記事でご紹介するが、公認会計士試験においては、他の合格者が解ける問題は必ず回答し、他の合格者が解けない問題はあえて捨てるという戦略が有効であるため、大多数が通う予備校を選ぶということは、正しい選択であると言える。
そのほか、東京CPAは、経験ある講師陣が在籍しており、高い合格率を誇っている。また、LEC東京リーガルマインドは、短答式試験に特化した価格の安いコースを設置しているため、勉強をスタートするハードルが低いと言われている。
筆者の場合をご参考までに。初回の冒頭で触れたとおり、筆者は上海の会社に勤務していたとき受験勉強を始めた。現地に受験予備校はなかったため、通学はできなかったので、通信講座を受講していた。受験の際には、有給休暇を取り日本に帰国して受験していた。
約2年後、勉強時間をもっと取りたいと思い、会社を退職したが、やはり通信講座で勉強していた。3度目の短答式試験に不合格となった時、通学の講座をすすめられ、東京で某予備校の通学講座の受講生になる。そこから約1年後に合格することになるが、直前期まで、アルバイトはしていた。合格する直前の10か月間くらいは、すごく勉強した記憶がある。
以上のように、どういう戦略で合格を目指すのか、どういう方法で勉強していくのかに関しては、個人によって状況が異なるため、一概には言えないだろう。
しかし、早く合格すれば、それだけ後の人生を有意義に過ごすことも可能になる。合格を目指して頑張って欲しい。
文:細田聖子(公認会計士・税理士)