前回から論語を通して富や利益について考えています。とはいえ、孔子が生き、その後も孔子の言葉を大事に学んでいた時代は、いまの時代のように、誰もが富や利益について考えなければならない事態は想定されていませんでした。そういうことは、上に立つ者そして賢明なリーダー(君子)だけが考えればいいとみなされていたのです。
そもそも、20世紀も半ばを過ぎるまでは、誰もが富や利益を追求できる状態ではありませんでした。ところが、低金利ないま、誰でもいいアイデアと実行力があれば、資金を得て起業できる時代です。それは、孔子から考えれば、群雄割拠どころではなく、民のすべてが君子になってくれなければ困る事態といえるでしょう。
この点で、今後、論語を読むときには、「君子」はすべて自分たちのことだと思ってかからないと意味がなくなるでしょう。「誰かエライ人のことだろう」では済まないのです。私が、あなたが、すべて君子を目指していかなければ、世の中はよくならないのです。
子の曰わく、君子は義に喩(さと)り、小人(しょうじん)は利に喩る。(巻第二、里仁第四)
富や利益についても同じです。資本主義の初期段階では、財閥や銀行など圧倒的な資本力を持つ者だけが富や利益に悩むことができたのです。
いまの時代、誰しもが個々に「自分にとっての富」とか「自分にとっての利益」といったものを考える必要があります。ですから、この言葉も、「君子(誰かエライ人)は、義を重んじるべきで、利益や富は二の次だ。利益にこだわるのは小人の証拠だ」と解釈するのは、もはや私たちには、それこそ無益な考えとなってしまうのです。
そもそも、この言葉では君子と小人を対比させているので、君子を人格者で立派な人と定義してしまうから、小人はとるに足らない賤しい人間だろう、と推測してしまいがちなのです。おそらく、当時でも孔子は、君子と小人をそのような対比にはしていなかったのではないでしょうか。
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