日本政策金融公庫総合研究所は中小企業との産学連携に力を入れている大学のランキングに関する論文を日本政策金融公庫論集第44号に掲載した。 

関西学院大学商学部の安田聡子教授、政策研究大学院大学の隅藏康一教授、千葉大学大学院社会科学研究院の長根(齋藤)裕美准教授、文部科学省科学技術・学術政策研究所の富澤宏之総括主任研究官の4氏がまとめた。

全国316大学の2014年度から2017年度の共同研究と受託研究のデータをもとに、産学連携の規模が極めて大きく中小企業との連携も活発な大学と、これら大学には及ばないものの産学連携規模が相応に大きく、中小企業との連携が活発な大学の二つのランキングを作成。 

併せて産学連携の成り立ちや大学の考え方、大学が持つリソースと制度についても詳しく説明しており、「実務家にとっても参考にしやすいものになっている」としている。 

中小企業の産学連携は地方の国公立大学が積極的     

論文のタイトルは「産学連携:中小企業と積極的に協力する大学および連携プロジェクトの研究」で、大学と中小企業の連携活動を、データを用いて巨視的にとらえたうえで、大学ごとの特色を明らかにし、連携内容を分析することで中小企業の産学連携の全体像を浮かび上がらせている。 

産学連携の規模の大きな大学は、1年間の共同研究や受託研究の平均受け入れ件数で順位付けをした。トップは東京大学で、総件数が3389件、中小企業からの受け入れ件数が384件だった。2位は京都大学で、総件数が2108件、中小企業の受け入れ件数は232件。3位は総件数が大阪大学の2038件、中小企業からの受け入れが東北大学の216件だった。 

一方、中小企業との連携が盛んな大学は、、民間受け入れ件数に占める中小企業の割合で順位づけした。トップは前橋工科大学で、中小企業の受け入れ割合が73.6%に達した。2位は富山高等専門学校で同72.4%、3位は県立広島大学で同68.2%の順となり、17位までが50%を超えた。上位30校のうち25校が地方大学であり、このうち大多数を国公立大学が占めた。 

さらに論文では受け入れ総件数が上位20%以内で、中小企業の受け入れ割合の高い10校を「SME(中小企業)コラボ10大学」と命名。これら10校は「連携相手として企業から好まれ、連携企業の選択肢が豊富な中で中小企業と密に協力する大学と解釈できる」と分析した。

SMEコラボ10大学中小企業の受け入れ割合の高い大学
1 岩手大学 前橋工科大学(73.6%)
2 茨城大学 富山高等專門学校(72.4%)
3 岐阜大学 県立広島大学(68.2%)
4 三重大学 拓殖大学(63.8%)
5 鳥取大学 岡山理科大学(63.2%)
6 宮崎大学 沖縄工業高等專門学校(61.1%)
7 琉球大学 石川県立大学(60.8%)
8 電気通信大学 琉球大学(59.6%)
9 大阪府立大学 東京工芸大学(56.4%)
10 近畿大学 麻布大学(56.3%)
11   鳥取大学(55.8%)
12   带広畜産大学(55.4%)
13   岡山県立大学(54.5%)
14   和歌山大学(53.2%)
15   秋田県立大学(52.9%)
16   崇城大学(52.5%)
17   酪農学園大学(52.2%)
18   岩手大学(49.3%)
19   北見工業大学(49.2%)
20   岐阜大学(48.5%)
21   室蘭工業大学(48.5%)
22   福島大学(48.5%)
23   佐賀大学(48.2%)
24   北九州市立大学(48.1%)
25   宮崎大学(47.7%)
26   大分大学(45.8%)
27   近畿大学(45.7%)
28   三重大学(45.5%)
29   大阪府立大学(44.7%)
30   茨城大学(44.7%)

※左端の数字:中小企業の受け入れ割合の高い大学は順位で、SMEコラボ10大学は順位ではありません。

文:M&A Online編集部