科目別勉強法 財務会計論(会計学)|公認会計士になるための勉強法(6)
31歳で働きながら公認会計士を目指した筆者の独断と偏見による試験合格に役立つ勉強法を連載形式でお届け。今回は基礎科目の「財務会計論(会計学)」の勉強法をアドバイスする。
公認会計士になるための「勉強法」というのは、人それぞれである。本コラムでは、31歳で働きながら公認会計士を目指した筆者の独断と偏見による試験合格に役立つ勉強法を書いていきたい。
今回は、「財務会計論(つまり、簿記)」の次に、多くの時間を費やさなければならない科目ー「管理会計論」について解説したい。
「管理会計論」は、「原価計算」と「管理会計」の分野に分かれ、それぞれに計算問題と理論問題が存在する。
財務会計を「会社の外の人たちに会社の業績を分かりやすく示すための会計」とすると、管理会計は、「会社内部の管理のために経営者が行う会計」と言えるだろう。「原価計算」は製造を行っている会社などで、コストがいくらかかっているのかを計算する会計である。また「管理会計」とは、もっと広く、会社の意思決定に関連する分野で「経営学」とのつながりが深い。
管理会計の分野は、当然、財務会計とつながっている一方、会計士試験の範囲で言うと、選択科目の「経営学」(「経済学」と「統計学」も少し)ともつながっている分野である。大きく言えば同じ分野の学問を、試験の範囲を明確にするために、会計士試験では「管理会計」と「経営学」(「経済学」「統計学」にも)に分けている、ということもできる。
財務会計と同様、管理会計の分野でも、基本となるのは、計算問題と呼ばれる「数字を求める」タイプの問題であり、短答式試験においても、論文式試験においても、計算問題は出題される。従って、計算問題が回答できなければ、公認会計士試験で勝負はできないと言えるだろう。
管理会計論においては、原価計算の計算問題が、最もボリュームがある分野であり、繰り返し問題を解くことが求められると言える。また、原価計算は、日商簿記1級などの「原価計算」と同様の分野であり、日商簿記から会計士試験に進んでいく人も多い。
どんな勉強であっても、インプットとアウトプットというものが存在する。会計士受験においては、講義を聞いたり、教科書を読んだりして、知識を得ることがインプット。実際に計算して計算問題を解いたり、実際に記述してみて問題を解くことがアウトプット、と呼ばれている。
当然、最初はインプットから始めるだろう。知識を得て、それから実際に問題を解いてみることが重要である。計算問題は特に、アウトプットが重要である。それも、繰り返し問題をとくことが重要である。
重要性が高いと思われる同じ問題を何度も繰り返して解くということが地味であるが、最適な方法であると言える。そしてこの方法が、最短の方法でもあると言えるだろう。ぜひ、地道な積み重ねをしていってほしい。
筆者は正直言うと、「会計学」全体が得意であるとは言えない受験生であった。これは、「会計学」が配点の大部分を占める会計士試験において、受験生としては致命的である。特に、管理会計論は苦手意識がずっと強かった。
合格した短答式試験においても、管理会計論は70点であり、反省として、「基準のところが結局、全く取れていない。取れる計算問題、簡単な計算問題が全く取れていない。計算はほとんどまぐれ。」と書いている。「理解できて、問題が解ける」状態になり、手応えをつかんだのは、多分、合格した年の論文式試験の直前くらいだったと思う。
筆者は合格した年の前年より、管理会計で「カリスマ講師」と呼ばれる先生の生受講生だった。でも、残念なことに、自分のレベルが低かったため、この方のすごさや有難さが全く理解できていない期間が長く続いた。本当にすごい!と理解できるようになったのは、短答式試験に合格する直前くらいだったと思う。
ずっと苦手だった「会計学」であるが、最終的に論文式試験では、全体を下げる成績ではなく、全体を押し上げる成績を取って合格することができた。筆者と同様に、苦手意識を持つ受験生に今回の記事が参考になれば幸いである。
文:細田 聖子(公認会計士・税理士)
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