公認会計士になるための「勉強法」というのは、人それぞれである。本コラムでは、31歳で働きながら公認会計士を目指した筆者の独断と偏見による試験合格に役立つ勉強法を書いていきたい。

企業法とは、主に会社法のこと

今回は「企業法」について解説する。前回の「監査論」と同様に、短答式試験と論文式試験がある科目だ。

「企業法」は選択科目の「民法」を除けば、純粋な法律科目であり、そういう意味では公認会計士試験の科目の中では異彩を放っている科目であるともいえる。「企業法」の内容(*1)は、主に会社法である。他に商法と金融商品取引法が試験範囲になる。

*1  ちなみに企業法という法律は存在しない。

司法試験受験生など法律系の方々からすると、会計士試験受験生が(民法選択者以外の大部分は)民法をすっとばし、いきなり商法・会社法を学ぶというのは、かなり違和感があるようだ。それは、商法・会社法は民法の特別法という位置付けだからなのだが、個人ではなく主に法人、それも比較的大きな会社を相手にすることが想定される公認会計士という職業ゆえ、このような科目の設定がなされていると思われる。

短答式は、条文を読み込め

短答式試験においては、「監査論」と同様、「企業法」も基本は、条文の暗記が必要になる。計算科目は出題されない。条文を読み込み、正誤判断がつくように、その背景にある考え方も踏まえて、ある程度の暗記が必要になる。

単に暗記するというよりも、背景にある考え方を理解した上で暗記をすると、その定着度もアップするだろう。法律には、法律立案者による、それぞれその目的や意図するところがあり、それを理解することも重要である。

論文式は、論点を整理せよ

論文式試験は、論述問題が出題される(計算問題は出題されない)。会計学や監査論、租税法にも、文章を書く形式の問題が出題されるが、企業法の論述問題とは異なっている。

まず特徴として、企業法の論述問題の記述は長い。会計学や監査論などの論述は、一つの問題に対して、短いときは3行程度、多くても5行から10行程度の解答欄が与えらえる。しかし、企業法は、一つの問題に対して、20行以上の論述が必要とされ、司法試験タイプの問題である。選択科目の民法を除くと、会計士試験科目でこのような司法試験タイプの問題が出題されるのは、「企業法」のみである。

司法試験と違い、基本的な問題が多いが、勉強方法は一般的な法律科目の資格試験と勉強方法と変わらない。具体的には、論点整理と記述の練習が重要になってくる。

筆者の受験生時代のノートより。「論文式試験の戦略:監査論と企業法について、差をつけられないよう、ねばってどうにか書き上げる」と書いている。

他の科目と勉強法が違うため、記述・論述対策は難しいと感じる方も多いだろう。しかし、法律を学ぶことは、その後の人生で生きるはずだ。もしかすると、会計学よりも人生で役立つ科目かもしれない。ぜひ、得意科目にしてほしい。

法律に縁遠かった筆者の場合

筆者は教育学部出身で、公認会計士試験で「企業法」を勉強し始めるまで、法律というものを一切勉強したことがなかった。それまでは法律ばかりでなく、経済にも全く関心がなく、大学進学時も法学部や経済学部には全く関心がなかった。そんな筆者であるが、会計士受験生時代に「企業法」で法律を学んで以来、法律の世界を知り、世界が広がった。

国によって法律が違うというのは、強みでもあり、欠点でもあるといえるが、日本にいる限り、日本の法律が全てを動かしていると言っても過言ではない。

例えば、税金。確定申告をどうするか、法人税はどうなるか。みんな悩む。でも答えは、法律に書いてある。所得税法や法人税法やその他の規定に全て書いてある(しかも、日本語で)。

実務家の仕事というのは、ほとんどが「法律・条文を調べること」から始まる。法律・条文を調べる。解釈・事例を調べる。現状の案件に当てはめて考える、ということの繰り返し。その基礎を会計士受験で学び、その考え方は、日本以外の国でも役立った。

文:細田 聖子(公認会計士・税理士)

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