公認会計士になるための「勉強法」というのは、人それぞれである。本コラムでは、31歳で働きながら公認会計士を目指した筆者の独断と偏見による試験合格に役立つ勉強法を書いていきたい。

精神論は重要なのか?

前回までの記事では、公認会計士試験の全体的な戦略の話や、試験科目ごとの勉強法などについて書いてきた。本稿以降の記事では、精神的な部分であるメンタル面にスポットを当てて書いていきたい。

みなさんは、精神論の重要性をどう考えているだろうか。「精神論」というと、なんだか昭和的な古い時代のように感じられる。しかし「心の持ちよう」はいつの時代も重要である。心の動きをとらえ「受験勉強における現状の自分とどう向き合うか」ということは、大きな意味での「合格するための勉強法」と言えなくもないのではないだろうか。

「お受験」の世界はなぜ残酷なのか?

公認会計士試験だけでなく、全ての試験に言えることであるが、受験の世界というのは、たった1点で合否が分かれる世界である。それをもって「残酷である」という見方をすることもできるが、生まれや国籍や年齢や性別、外見や性格で判断されることが多い世の中において「点数のみ」で判断される世界は、ある意味ピュアで純粋な世界であるとも言えよう。

受験の世界は単純明快である。世の中には二種類の人間しかいない、という考えで成り立っている。つまり「合格した人間」と「これから合格する人間」の二種類である。諦めなければ、死ぬまでに合格のチャンスはある。筆者は受験勉強を始めた当初からずっと「いつかは合格する」と思っていた。楽観的な考えにも思えるが、その「いつか」がいつになるのかは分からなかったのだが…。

ここからは完全に筆者の個人的な考えになるが、公認会計士試験の合格後に思ったことがある。それは、合格するまでの心の動きには「5つのフェーズ」があるということだ。

合格するまでの「心の動き」を5つのフェーズで考える

この5つのフェーズとは、筆者自身の経験から考え出したものであるが、周囲の受験生などを見てみると不思議と必ずどこかのフェーズに当てはまっていた。

・合格するまでの「心の動き」5つのフェーズ(筆者考案)

第1フェーズ 会計士試験なんてちょろいと思っている。簡単に合格できると思っている。→合格しない。
第2フェーズ 自分の実力と合格レベルの差を自覚する。その歴然たる差を前に、無理だと考える時期。→だいたいの人がここで諦める。
第3フェーズ 自分の実力はひどいが、前に進むしかないと腹をくくる時期。
第4フェーズ 自分の実力はまだまだだが、頑張れば合格できるかもしれないぞ、と光が見える時期。
第5フェーズ 不合格でも、僅差で合格に至らないレベルになる。→合格までもう少し!!
合格!

筆者の場合(ご参考)

筆者の場合、第1フェーズの期間が2~3年間と非常に長かった。自分の実力を顧みず、現実を知ろうとせず、試験をなめていた時期である。当然、合格しない。合格しないどころか、合格まで遠く及ばない時期が長く続いた。

一方「現実を知った」後の第2フェーズから合格までは、約1年間だった。きっかけは定かではないが、ある時、目が覚め「マジでやばい!!」となった記憶がある。そこで諦めなかったのは、たまたまだと思っているが、第2フェーズに入ってからは怒涛の日々だった。

ポイントは、「自分の実力を知る」ということである。「現実を知る」ということが全てのスタートであるのと同様、受験勉強においても、「自分の実力を知る」ということから、全てが始まると思う。ぜひ、「現実を知る」ところからスタートとして、頑張ってほしい。

文:細田 聖子(公認会計士・税理士)

◀前回の記事「論文式試験の「選択科目」の勉強法」

▶次の記事「試験勉強は孤独との闘いである」