多摩大学大学院 経営者の内面変革に重点 M&Aを学びたい人大集合(3)

※この記事は公開から1年以上経っています。
alt
多摩大学大学院の徳岡教授(左)と藤本客員教授

多摩大学大学院経営情報学研究科藤本江里子客員教授は「中小企業の価値創造と事業承継」をテーマに2018年4月から7月まで15コマのゼミを実施。2019年も同様の内容で開講する。

中小企業の価値創造には経営者自身の内面変革が重要

同講座は「中小企業の価値創造を考える時に重要なのは、経営者自身の内面変革にある」との考えから開講。中小企業の人的経営資源の承継について、経営者の内面変革に効果的な手法を学んだあと、具体的な事例を基に事業承継について学ぶ。 

初年度の受講生は中国からの20歳代の留学生や、30歳代、40歳代、50歳代の経営者や会社員ら23人。経営する自身の会社の事業承継を抱えている経営者や、勤務先企業の事業承継のために参加した経営企画担当者など具体的な課題を持つ受講生が少なくない。 

また、企業を買収して事業を引き継いだ経営者で、中小企業の価値創造について学ぶために参加した例もあった。

多摩大学大学院には100ほどの講座があり、平均の受講者は9・9人のため、中小企業の価値創造や事業承継に対する関心の高さがうかがい知れる。

多摩大学大学院の授業は双方向で行うのが一般的なため、藤本客員教授の講座も会話形式で授業を行っており、事業承継に必要な情報をまとめたレジメをもとに受講者同士が議論し合う中で授業が進む。

課題を抱えている受講生から「実際に存在する企業の具体的な事例を出してもらい、受講生で話し合って事業承継計画を作ることもあった」(藤本客員教授)という。

多摩大学大学院の教授はすべて実務家であり、アカデミックだけの教授はいない。多摩大学大学院経営情報学研究科長の徳岡晃一郎教授は「専門知識だけを教えるのであればアカデミックでいい、経験だけを伝えるのであれば実務家でいい。その両方を教えることができることが重要」と強調する。

【藤本江里子(ふじもと・えりこ)客員教授の略歴】

多摩大学大学院 経営情報学研究科 客員教授

立命館大学文学部卒業。立命館大学大学院にて法学修士を取得。都市銀行、会計事務所、コンサルティング会社を経て、現在は中小企業のあらゆる悩みに応えるためのコンサルティングや執筆活動を行う。

得意分野は、事業承継、組織再編成、M&A、公益法人などの会計や税務など。

税理士、中小企業診断士の資格を持つ。


【徳岡晃一郎(とくおか・こういちろう)教授の略歴】

多摩大学大学院 経営情報学研究科長(教授)

1980年、東京大学教養学部国際関係論卒。日産自動車人事部、欧州日産を経て、1999年世界最大手の米国のコミュニケーションコンサルティング会社フライシュマン・ヒラードの日本法人のSVP/パートナーに就任。

人事制度、風土改革、社内コミュニケーション、レピュテーションマネジメント、リーダーシップ開発などに従事。2006年から多摩大学大学院教授を兼務。2017年ライフシフトCEOに就任。

著書に『MBB:思いのマネジメント』(野中郁次郎教授、一條和生教授との共著)、『イノベーターシップ』など多数。


【多摩大学大学院の紹介】

多摩大学大学院はイノベーションを起こしていくリーダーを育てることに重きを置いており、この方針に基づいてカリキュラムを構成し、中小企業のイノベーションを促進するための基盤作りに取り組んでいる。社会人が、学びやすいように25年前から品川駅前に拠点を構える。

大学院は正規に入学し2年間必要な科目を履修する「MBAコース」、正式に入学せずに目的に応じた科目だけを履修する「単科コース」、やはり正式に入学せずに企業の研修目的などに合わせて履修科目をパッケージ化する「テーラーメードコース」の3コースがある。

http://tgs.tama.ac.jp/

取材・文:M&A Online編集部

NEXT STORY

アクセスランキング

【総合】よく読まれている記事ベスト5