直前期は、毎日全ての科目を回せ|公認会計士になるための勉強法(5)
総合力が問われる会計士試験では、苦手科目を作らないことが合格までの最短の方法である。では、どのような勉強時間の時間管理(タイムマネジメント)が有効だろうか。
公認会計士になるための「勉強法」というのは、人それぞれである。本コラムでは、31歳で働きながら公認会計士を目指した筆者の独断と偏見による試験合格に役立つ勉強法を書いていきたい。
短答式試験には「財務会計論」という科目がある。これは論文式試験では「会計学」に含まれる分野であり、要するに、「簿記」のことである。会計士試験においては、「理論」と呼ばれるものが重視される傾向にあるため、「財務会計論」という科目の意味は、「簿記(計算)」と「簿記の理論(「財務諸表論」と呼ばれる)」という意味になっている。
なお、「簿記の理論」とは、短答式試験(マークシート方式)の文章問題、及び論文式試験(記述式)の文章を記述するタイプの問題のことを指している。
当然であるが、「簿記」は会計士試験の中心をなす科目であり、全ての科目の基本となる科目である。そのため、勉強のスタートはこの科目から、となる。日商簿記などの資格試験を受けてから、会計士試験(或いは、税理士試験)に進む人も多いだろう。
また、基礎となる科目なだけでなく、実際、短答式試験においても、論文式試験においても、「財務会計論」がカバーする内容は、最も配点が高い分野でもある。従って、この科目に最も長い時間を費やすことのほか、この科目を得意分野とするかどうかは、合否にも大きく関わってくるだろう。
筆者は、公認会計士試験の簿記入門講座からスタートした。「屋台でリンゴを売る」、という事例だった。リンゴを何円で仕入れて何円で売るか、屋台を買ったときはどうするか、など今でも講座の内容は忘れられない。
簿記の基本は、いわゆる計算問題と呼ばれる「数字を求める」タイプの問題であり、短答式試験においても、論文式試験においても、計算問題は出題される。従って、計算問題が回答できなければ、公認会計士試験で勝負はできないと言えるだろう。
計算問題の攻略法というのは、存在するのだろうか?「計算問題を繰り返し解く」という身もふたもない勉強方法が王道となる。あえて言うのなら、同じ問題を繰り返し解く方が効率的な方法と言える。
計算問題からはじめて、理論的な部分の勉強に進んでいくが、理論的背景を学ぶことで、計算問題に対する理解が深くなり、速く正確に解けるようになった、というような相乗効果も期待できるだろう。
また、自分自身が試験前に見るためのノート作りも必要になってくる。筆者の場合、理解をまとめるために、「1論点、1ページ」のノートを作成した。直前期はやることが多いため、試験の2~3ケ月前までには、ノート作りを終わらせるようにしたい。
皆さんは、「会計」や「簿記」に対して、どういうイメージをお持ちだろうか?
筆者は、会計というのは、音楽と同じだと思っている。つまり、簡単に国境を超えるものだと思っている。確かに、世界には様々な会計基準が存在し、細かく見ていけば異なる部分も多い。
しかし、「複式簿記」は世界共通の言語であり、基本的な会計の考え方は変わらない。筆者は、海外で長く働いてきて、会計学で基本的な考え方を学んだことが本当に役に立った。会計は世界共通の言語であり、世界中どこにいっても通用する武器になりえると思っている。ぜひ、この武器を磨くために頑張ってほしい。
今回は「おまけ」として、筆者の短答式試験の成績を載せたい。合格した年のものである。短答式試験は、企業法、監査論、管理会計論:各100点、財務会計論:200点の合計500点満点の試験である。
目標。「企業法:80点、監査論:80点、管理会計論:80点、財務会計論:150点の合計390点。78.0%の正答率。」
結果。「企業法:80点、監査論:90点、管理会計論:70点、財務会計論:132点の合計372点。74.4%の正答率。」で、合格した。
次回は、財務会計論の管理会計について解説する。
文:細田 聖子(公認会計士・税理士)
「科目別勉強法」バックナンバーはこちら
・財務会計論(管理会計)
・監査論
・企業法
・租税法
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