科目別勉強法(監査論)|公認会計士になるための勉強法(8)

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公認会計士になるための「勉強法」というのは、人それぞれである。本コラムでは、31歳で働きながら公認会計士を目指した筆者の独断と偏見による試験合格に役立つ勉強法を書いていきたい。

会計科目の次に勉強をスタートさせる「監査論」

前回前々回の記事では、会計学である「財務会計論」(つまり簿記)と「管理会計論」の勉強方法について解説した。今回は、この2科目の次に多くの時間を費やさなければならない「監査論」について解説したい。

受験生は、会計科目である「財務会計論」と「管理会計論」の次に、「監査論」と次回登場する「企業法」の勉強をスタートさせるのが一般的なカリキュラムである。「監査論」とは文字通り、公認会計士の独占業務である「監査」に関する科目である。

一言で監査と言っても「監査論」の出題範囲は、監査基準から、監査に関する品質管理基準、四半期レビュー基準、内部統制監査、保証業務、公認会計士の職業倫理まで、と実に幅広い。

監査論の短答式は、暗記が必要

会計士試験には、短答式試験と論文式試験があるが、この2つは全く異なる種類の試験と考えるのが妥当である。

現行の会計士試験は、旧試験ほど「暗記」の比重が大きくなくなったとは言え、マークシート式の短答式試験においては、ある程度の暗記が必要になってくる。試験では単に結論のみを答えることが必要であるため、正誤の判断においては監査基準などの暗記が欠かせない。

論文式は、理解優先

一方、記述式の論文式試験においては、試験時に基準集が別紙で配布される(*1)。時間的制約により、基準の内容(どこに何が書いてあるか)などは、ある程度の暗記が必要だが、事例問題など現場で考えさせる問題が多く出題される傾向にある。従って論文式試験対策としては、「理解すること」を第一に考え、多くの事例問題を解くことが必要となってくるだろう。

*1 監査論のほかに、企業法、会計学、租税法、選択科目の民法で条文・基準集が配布される

「監査論」は、監査の実務経験がない場合、事例を想像しにくいため、難しい科目だと感じるかもしれない。しかし合格後に監査の現場に入った場合、直接使える内容にもなってくるので、ぜひとも得意科目にして欲しい。

苦手科目で高得点を取った筆者の場合・・・基準を死ぬまで読み込め!

正直に言うと、筆者は「監査論」を最も苦手とする受験生であった。基本的に暗記科目が苦手な受験生だったので(当時の年齢とも無関係ではないと思う)、短答式試験は特に苦手だった。そのため短答式試験で4度の不合格を経験している。短答式試験直前の戦略ノートを見ると、「基準よみこむ、死ぬまで!」と書いている(笑)。 

筆者の受験生時代のノートより。監査論に関して、「基準よみこむ、死ぬまで!」と書いている。

しかし、合格した年の短答式試験においては(まぐれの要素もあったとはいえ)監査論で90点を獲得することができ、これが合格を後押ししたことは間違いない。

一方、実力が反映されやすいと言われる論文式試験においては、監査論は実力通りの得点しかできなかったが、全体の点数を「大きく」引き下げるまでには至らなかった。

「監査論」で何とか最低限の点数を取得することができ、持ちこたえることができたため、それが合格につながったと思っている。公認会計士試験がいかに「守り」の試験であるかが分かるだろう。つまり、公認会計士試験では苦手科目を作らないことが合格への道であるということだ。

文:細田 聖子(公認会計士・税理士)

「科目別勉強法」バックナンバーはこちら
・財務会計論(会計学)
・財務会計論(管理会計)
・企業法
・租税法

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