5-3 経営陣のインセンティブ報酬の設計

次は社長を含めた経営陣のインセンティブ設計です。
多くの国内企業の取締役報酬は欧米と比べて以下の点が大きく異なっています。
① 固定報酬と業績連動報酬の合計額が欧米に比べ格段に低い
② 報酬総額に占める業績連動報酬の割合が欧米に比べ低い

その最大の原因は日本の企業の経営者の多くが社内からの昇格者で占められており、従業員との格差を気にしすぎた制度設計となっているからだと思います。

取締役になるということは、従業員というある程度身分保障された立場から離れて、毎年地位をかけて勝負していかなければならないということですから、業績のいい時は従業員の何倍もの報酬が支払われても当然です。その代り、業績が悪ければ報酬は部長以下になることもあるし、あるいは戦力外通告を受けて退任もありうる、そんな覚悟で受けた役職なのです。

そんな取締役の報酬ですが、やはり従業員と同じベクトルを持つためには部門ROIC改善を全社に反映したROEが一つのKPIなると思います。

ただROEは分母の株主資本圧縮だけでも改善可能な指標なので、財務的なROE改善が行き過ぎないように、業績連動報酬は株主に帰属する当期純利益の一定割合というようなキャップを設けてはいかがでしょうか。

また業績連動報酬にストックオプション報酬を盛り込むことも、株主目線という観点からは重要ですが、株価は自社の業績とは関係なく変動する場合もあるので、自助努力のROEと利益連動の報酬、それに一部ストックオプション報酬というような構成が望ましいのではないかと考えます。

文:クロス・ボーダー・ブリッジ株式会社 代表取締役 藤原裕

【バックナンバー】連載コラムを読みたい方は、こちらから