連載もいよいよ最終回となりました。「すべての道はローマに通ず」ということわざがあります。 英語でAll roads lead to ROMEといいます。この ROMEの”M”を取って ROE、つまり All roads lead to ROE「企業経営のすべての道はROEに通ず」 となります。
会社という制度の起源は古代イタリアにあるそうです。その後1602年に設立されたオランダ東インド会社で株式会社という制度が生まれました。
従業員の持株会加入を後押しする施策として、企業からの奨励金の増額があります。奨励金支給の平均支給額は、拠出金1000円に対し80.04円(約8%)とまだまだ従業員の株主化を加速するには不十分な額といわざるを得ません。
日本の企業では従業員株主を拡大する余地が十分に残っています。従業員株主は企業にとって安定的な長期保有の株主であると同時に、企業のROE向上あるいは株価上昇という株主の期待する方向と同じベクトルを有することになるのです。
次は社長を含めた経営陣のインセンティブ設計です。経営陣には従来より業績連動の割合が高い、メリハリの利いた報酬体系が期待されています。
ROIC経営の成功のカギは、ROICツリーによって見える化されたROIC改善貢献度をいかに従業員個人のインセンティブにリンクさせるか、そして部門全体が同じ方向のベクトルに向かって進めるかにかかっています。
第五章では、ROE改善が株主だけでなく、経営者はもちろん全従業員がその果実を享受できるような仕組みづくりを提案しています。基本的には ROEからROIC改善と報酬のリンク、さらに従業員の株主化の推進などにより、従業員と経営者そして株主が利害をともにしながら同じ方向に進んで行くことが企業の望ましい姿だと信じています。
今回は、ROICツリー展開の完成図とKPIの設定についてみていきましょう
前回の続きです。部門の投下資本を構成要素に分解し、ツリー展開します
ROICツリー展開による全従業員への浸透 第2回は、部門の営業利益をその構成要素に分解しツリー展開してみます。