株主資本コストは誰がどう決める?

銀行借り入れや社債などの有利子負債のコスト(資金提供者の期待するリターン)は、予めその会社の信用度合い(リスク度合い)を判断材料として、最終的には交渉で決められ、契約書に明文化されます。

一方個別企業の株主資本コストは株式市場に参加している不特定多数の投資家がそれぞれの判断で推定していると言えます。したがってある一つの企業に一つの株主資本コストがあるわけではなく、投資家の数だけあるといってもいいでしょう。

リスクの高い投資には高いリターンを期待するのが投資の原則です。理論的には比例していると言えます。例えばチャートの右下にあるような投資案件はリスクが高い割にリターンが低い、こういう案件は投資を見送られ、自然にリターンを高くせざる(価格が下がる)を得なくなります

逆に左上にある案件はリスクの割にリターンが高いので、投資家の人気が高く、自然にリターンは低く(価格は高く)なっていきます。このように市場で投資案件のリスクとリターンはそれに見合ったレンジに最終的には収斂していくのです。

一般の投資理論(CAPM)では上場企業の株主資本コストErを以下のように求めています。

Er = Rf + β(Erm – Rf)
Rf: 国債などリスクゼロのリターン
Erm: 株式市場全体の平均リターン
β: その企業固有のリスクレート(市場平均とのかい離率、市場平均と同じリスクなら1)

ただその企業固有のリスクレートβは必ずしも実績だけではなく、今後の見通しなど投資家の判断にゆだねられるべきもので、結果として株主資本コストは唯一絶対的なものはなく、市場が決めている(多数の投資家の推定値のコンセンサス)と言えるのではないかと思います。

文:クロス・ボーダー・ブリッジ株式会社 代表取締役 藤原裕

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