3-7 目標とすべきROICは?

ROIC目標は上の計算式のように目標とするROEが決まれば、投下資本一定のもとでは有利子負債と株主資本の割合で自動的に決まってきます。

上のグラフはROE8%を目標とする会社の当期純利益が想定から外れて減少する場合でも、株主資本の一部を有利子負債で置き換えることにより、目標とするROE8%は達成可能というシナリオです。

前提条件はROE8%目標を最優先とし、実行税率35%、有利子負債の金利は1%(一定)としています。(注:現実の世界では負債比率が上昇すると借入金利も上昇します)

有利子負債がない場合(グラフの左端)には当然ことながらROICもROEと同じ8%です。

株主資本の一部を有利子負債で置き換えるとROE8%達成に必要な当期利益とROIC目標値は段階的に低減されていきます。

このROIC目標値の低減の傾き(スピード)はROEと金利の差が大きければ大きいほど、急になります。なぜなら以下のROICの計算式でわかるように、ROICは株主資本に対するリターンであるROEと有利子負債の金利の加重平均値であるからです。

売上・利益計画はなかなか想定通りには進みません。しかしグラフで示されているように、そんな利益の下振れに対し、柔軟な負債活用でROIC目標値を下げればROE目標達成はかなり現実的になります。

低金利時代の今こそ、この低コストの有利子負債を有効に活用して、対外的には高いROEを維持しつつ、社内向けのROIC目標を下げて社内事業部門の採算ハードルを下げる必要があると思います。

文:クロス・ボーダー・ブリッジ株式会社 代表取締役 藤原裕

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執筆者紹介 藤原裕(ふじわら・ゆたか)

クロスボーダーブリッジ株式会社 代表取締役 藤原 裕

経歴: 1974年 東京大学工学部資源開発工学科を卒業 1974年 三井海洋開発(株)入社、海洋石油掘削装置(リグ)の開発およびマーケッティングに従事 1987年 安田信託銀行(株)入社、M&Aコンサルティングチーム統括、同社ニューヨーク副支店長、シカゴ支店長歴任 1998年 オムロン(株)入社、米国子会社社長、本社財務IR室長、執行役員常務・グループ戦略室長、同・経営IR室長歴任 2011年 オムロン(株)退社 2011年 クロス・ボーダー・ブリッジ(株)設立、代表取締役に就任(現任) 2013年 ナブテスコ(株)社外取締役に就任(現任) HPはこちらから http://cross-border-bridge.com/index.html