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【資本効率革命の波5-2】ROICツリーのKPIと従業員インセンティブとをリンク

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5-2 ROICツリーで設定したKPIと従業員報酬とをリンクさせる

仕掛けの第一は部門内各部署およびその下の従業員のKPI(重要業績評価指標)とインセンティブ報酬を密接にリンクさせることです。というのは上の図のようにKPIの中には、必ずしも従業員が進んで取り組みたくないような指標もあるからです。

たとえば売上高に占める固定費比率、つまり人件費と経費の比率の低減は従業員に痛みを強いるものになるかもしれません。ふつう売り上げが伸びて企業の規模が大きくなると、それとともに人員も経費も増えて、結局固定費比率はなかなか改善しないという例を多く見ます。それは現場の従業員にとって人員や経費の増加を抑制する動機付けが薄いからです。

売上が増えて仕事の量も増えたけど、残業規制もあり自分たちには何のメリットもないという状況では、与えられたKPIの達成に積極的に取り組んでもらうことは期待できません。

そんな売上拡大の局面で、従業員の創意工夫やコスト削減努力で人件費や経費の増加を最低限に抑制してもらうために必要な施策がKPIにリンクしたインセンティブ報酬制度です。

営業部門やメーカーの製造現場であればKPIがはっきりとしており、インセンティブも設定しやすいのですが、経理、総務、人事など本社管理部門の業務は、KPIの設定が難しくその分コスト意識も低く、生産性向上の動機付けもほとんどありません。特にこういう組織こそKPIとインセンティブ報酬(特別賞与のような一時的報酬)がリンクする制度が必要です。

このようなインセンティブ制度設計で、部門全体のベクトルをROIC改善という方向に一致させていただきたいと思います。
ROIC改善はROE向上にもつながるので、従業員と株主の利害も一致しベクトルも同じ方向を指すことになります。

文:クロス・ボーダー・ブリッジ株式会社 代表取締役 藤原裕

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藤原 裕

経歴: 1974年 東京大学工学部資源開発工学科を卒業 1974年 三井海洋開発(株)入社、海洋石油掘削装置(リグ)の開発およびマーケッティングに従事 1987年 安田信託銀行(株)入社、M&Aコンサルティングチーム統括、同社ニューヨーク副支店長、シカゴ支店長歴任 1998年 オムロン(株)入社、米国子会社社長、本社財務IR室長、執行役員常務・グループ戦略室長、同・経営IR室長歴任 2011年 オムロン(株)退社 2011年 クロス・ボーダー・ブリッジ(株)設立、代表取締役に就任(現任) 2013年 ナブテスコ(株)社外取締役に就任(現任) HPはこちらから http://cross-border-bridge.com/index.html


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第五章では、ROE改善が株主だけでなく、経営者はもちろん全従業員がその果実を享受できるような仕組みづくりを提案しています。基本的には ROEからROIC改善と報酬のリンク、さらに従業員の株主化の推進などにより、従業員と経営者そして株主が利害をともにしながら同じ方向に進んで行くことが企業の望ましい姿だと信じています。