目標とすべきROEは?

まず上場企業が最低限の目標とするのは、やはり前述のISSが定めた最低ROE基準5%です。
これは今後社長を続けていくための最低条件であり、また上場していることの意義を問われる最低水準でもあります。

企業の資本効率通信簿ではROE5%以下は不合格ということを、ISSや多くの機関投資家のガイドラインが意味しています。

この5%は現状の日本企業全般のROEの低さをISSやその他機関投資家が情状酌量した結果の数字であり、投資家の期待するリターンにはまだほど遠いものですので、今後このハードルは引き上げられるのではないかと思われます。

市場で認知され、付加価値を産んでいると評価されるROE目標値はやはり8%です。

この8%は一般的に理解されている日本企業の株主資本コスト6~7%を超える水準という意味を持っています。この6~7%は企業が株主に約束や契約したものではないので、これを下回ったからといってペナルティは課せられませんが、市場からは資本コストもカバーできていない、付加価値を産んでない企業とみられる恐れがあります。

前回ご紹介したニッセイ基礎研究所のレポートにもありましたが、ROE8%以下では株価は解散価値のレベル(つまりPBR=1)に低迷してしまいます。

2014年8月に発表された経済産業省のプロジェクト、いわゆる伊藤レポートに明記された「ROE8%以上をめざすべき」というメッセージは、この資本コストを強く意識したものです。

海外投資家の期待値はさらに高くROE10%以上が求められています。

欧米企業の平均がROE15%程度であることを考慮すると、特にグローバルに事業展開する企業には15%以上を目指さなくてはならないと思います。

文:クロス・ボーダー・ブリッジ株式会社 代表取締役 藤原裕

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