2-5 バランスのとれた資産と資本の構成を

これまで述べてきたように有利子負債の活用の目的はROEの改善と資本コストの低減により社内事業部門に課するハードルを下げることです。
しかし有利子負債の活用にも当然のことながら限度があります。

無制限に有利子負債の比率を高めると万一の時のため備えもなくなり経営リスクも高まります。
そんなとき、有利子負債の活用のめどとして以下を検討してみてはいかがでしょうか

① 顧客(特に公的機関)から要求される株主資本比率の最小限度
② 格付け維持のための有利子負債比率の最大限度
③ 資産と資本のバランス

特に上記③ですが、バランスシートの右側(資金の調達源)と左側(資金の使途)がほどよく調和しているでしょうか?

右側の株主資本はハイリスクハイリターンに投資するリスクマネー、有利子負債(他人資本)はローリスクローリターンの安全志向のマネーです。そのように調達した資金を企業は各事業に投資してその結果が左側の資産項目に表されています。

右側にはハイリスクの株主資本が多いわりに左側の投資先はほとんどリスクのない現業の設備投資だったり、あるいはその逆にローリスクマネーの有利子負債が多いわりに、投資先はリスクの高い企業買収だったり、あるいは現業とはかけ離れた新規事業投資だったり、左右のリスクの度合いがマッチしているでしょうか。

このような資産と資本・負債のリスクのマネジメント(ALM:Asset Liability Management)という視点からも有利子負債の活用を検討していただきたいと思います。

文:クロス・ボーダー・ブリッジ株式会社 代表取締役 藤原裕

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