第五章 すべての道はROEに通ず 

All roads lead to ROE

この章ではROE改善が株主だけでなく、経営者はもちろん全従業員がその果実を享受できるような仕組みづくりを提案しています。

利益が相反しがちな従業員と経営者そして株主という企業の主要なステークホールダー(利害関係者)が同じ船に乗り、同じベクトルを持つというそんなWin-Winの関係を築くための提案です。

基本的には ROE~ROIC改善と報酬のリンク、さらに従業員の株主化の推進などにより、従業員と経営者そして株主が利害をともにしながら同じ方向に進んで行くことが企業の望ましい姿だと信じています。

5-1 全従業員のベクトルが同じ方向に向いていますか

これまで述べてきたように、全社目標ROEを達成するためには、ROEを展開して各部門や従業員個人の現場まで落とし込むROIC経営が必要不可欠なツールです。

このROE~ROIC経営は全従業員のベクトルを同じ方向に向け、全社一丸となって共通の目標にまい進するという企業変革のツールでもあるのです。 多くの企業が図に示されたような経緯を経て、ベンチャー企業から上場にこぎつけそして現在の成長した企業に育ってきたと思います。 

しかし今、社内を見渡してみてあの上場前の社内一体感は残っていますか?
創業からベンチャー企業そして上場まで、社長を含め全従業員が同じ方向を向いて頑張っていました。上場すれば世間に認められる、経営も安定し給与も上がる、そんな共通の思いが原動力になって経営を後押ししていたはずです。 

しかし上場から企業がさらに大きくなるにつれ、次第に従業員のベクトルがそれぞれ違う方向に向き、多くの企業は停滞期に入ります。そんな企業の停滞期を脱するのが、企業の倒産危機という全従業員の意識改革を迫る出来事であったり、あるいは強いリーダーシップを持ったカリスマ社長の登場ですが、多くの一般の企業はそれを待ってはいられません。

そんな普通の企業に必要なのは、ベクトル方向を統一するための仕掛けです。
ROE~ROIC経営は社内各部門そして全従業員を同じベクトルに向ける、まさにそのための有力なツールですが、それを動かす有効な仕掛けが必要です。それはROE向上は株主のためだけではなく、経営者や従業員も含めた社内ステークホールダ(利害関係者)のためでもあるということを実感させるインセンティブ報酬という仕掛けです。

文:クロス・ボーダー・ブリッジ株式会社 代表取締役 藤原裕

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