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【資本効率革命の波2-4】有利子負債の効果のシミュレーション

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2-4 有利子負債の効果のシミュレーション

前回の記事で「8%と1%の資本を上手に使い分ければ利益はそのままでもROEは改善し、平均の資本コストWACC)は下がり、事業部門のクリアすべきハードルも下がります」と述べましたが、ここではROEとWACCがどのように変化するかシミュレーションしてみました。

ここで例として挙げたのはROE5%の無借金企業です。
無借金なので現状の平均資本コストWACCは株主資本コストの7%です。

この企業が借入金を使って自社株買いを行い株主資本の一部を有利子負債に置き換えたときのシミュレーションが上の表です。

前提条件は実行法人税率35%、借入金の金利1%、株主資本コスト7%、時価総額=株主資本(第一章1-5参照:ROE8%未満の会社のPBRは1)で、営業利益は据え置いています。

ご覧のように、例えば株主資本の30%を有利子負債に置き換えるとROE、WACCともに約2ポイント改善され、ROEは日本企業平均の株主資本コスト7%に近づきます。

新たに支払い利子が生じるため純利益は少し下がりますが、株主資本コストと借入金利の差が大きいことと、支払利子には節税効果もあり、このような改善が期待できるのです。

なおWACCの計算式は以下です。

WACCはその名の示す通り加重平均の資本コストで、高いコストの株主資本割合が多い企業ほど、WACCは高くなります。

文:クロス・ボーダー・ブリッジ株式会社 代表取締役 藤原裕

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藤原 裕

経歴: 1974年 東京大学工学部資源開発工学科を卒業 1974年 三井海洋開発(株)入社、海洋石油掘削装置(リグ)の開発およびマーケッティングに従事 1987年 安田信託銀行(株)入社、M&Aコンサルティングチーム統括、同社ニューヨーク副支店長、シカゴ支店長歴任 1998年 オムロン(株)入社、米国子会社社長、本社財務IR室長、執行役員常務・グループ戦略室長、同・経営IR室長歴任 2011年 オムロン(株)退社 2011年 クロス・ボーダー・ブリッジ(株)設立、代表取締役に就任(現任) 2013年 ナブテスコ(株)社外取締役に就任(現任) HPはこちらから http://cross-border-bridge.com/index.html


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