2-3 まず本社で取り組む資本効率化(2) 借金経営のススメ

保有する現預金のレベルはそれほど余剰というわけではないが、無借金経営を続けられている企業が多数あります。確かに見た目は健全な財務基盤です。

しかし高コストの株主資本だけに資金源を依存していると、社内の事業部門もその高いコストがハードルとなり、新規事業はなかなか育ちにくいのではないでしょうか。

創業期に銀行はなかなかお金を貸してくれなかったとか、事業が苦しい時に限って銀行は貸し渋ったり、貸しはがしたり、とにかく借金はいやだとおっしゃる創業社長もいらっしゃいます。筆者自身10年あまり銀行に身を置いていましたので、銀行の身勝手さはよく分かります。

しかし今はすでに上場も果たし、事業基盤も安定し、ある程度の規模に育った財務盤石の企業です。低金利で運用先の無い銀行は、好条件で貸し出してくれます。

それでも銀行の顔を観たくなければ、社債発行という手段もあります。

いずれにしても、資金源を8%以上のリターンを期待される株主資本だけに依存するのでなく、金利1%程度の有利子負債(借金)を持って、バランスのとれた資本構成を作ることにより、強欲な株主資本を圧縮されることをお勧めします。

有利子負債は上場企業にとっては有効でより安価な資金です。株主資本(自己資本)に対して有利子負債を他人資本ともいいますが、この二つは性格は違いますが企業にとっては同じ資本です。

8%と1%の資本を上手に使い分ければ利益はそのままでもROEは改善し、企業の平均の資本コストWACC*)は下がり、事業部門のクリアすべきハードルも下がります。これは本社財務部門の責任です。

*加重平均資本コストWACC:Weighted Average Capital Cost

文:クロス・ボーダー・ブリッジ株式会社 代表取締役 藤原裕

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