連載開始のお知らせ

ROEで社長辞めますか、それともROEで会社を変えますか?

最近の報道によれば、2016年6月に開催された多くの会社の定時株主総会で、社長あるいはその他取締役の選任議案に対する反対票が昨年に比べ大幅に増えたということです。

その要因はいくつかありますが、まずは2014年に導入された機関投資家の行動指針を定めたスチュワードシップコード、次に同じ年に経済産業省のプロジェクトで発表されたいわゆる「伊藤レポート」、そしてとどめは機関投資家向けに議決権行使の助言サービスを提供するISS(インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ)が2016年2月にリリースした新たなガイドラインです。

いずれも資本効率の低いいわゆる低ROE会社への厳しい提言であり、議決権行使の方針表明です。

特にISSの新たなガイドラインは、5%を下回る低ROE企業の社長やその他トップの総会選任議案には反対投票を推奨しており、全国の上場企業の30%近くがこの影響を受けたものと推察されます。今後低いROEを理由に、社長や会長の選任議案が総会で否決されるということが現実味を帯びてきました。

ROEが企業経営指標のすべてではなく、またそのメリットとデメリットについてもいろんな議論がありますが、残念ながらROE5%未満の会社には市場参加者から社長の退陣通告、会社の退場勧告が出されてきていることを現実問題としてとらえる必要があります。取引所が定める基準ではなく、市場参加者が定める新たな上場基準といっても過言ではないでしょう。

今まさに多くの日本企業に「資本効率革命の波」が押し寄せてきているのです。

筆者は過去30年近く、企業向けにM&Aコンサルティングや融資を提供する銀行マン、企業の経営企画・財務・IR部門の責任者そして海外機関投資家のコンサルタントという三方の立場から日本企業の経営を観てきました。その経験を踏まえて、日本企業はこの大きな波にどう立ち向かうべきか、むしろその市場からの圧力を契機ととらえて会社を再び成長軌道に乗せるための仕組みづくりに生かすべきではないのかという観点からレポートを作成しました。

企業の経営者、経営企画室あるいは財務・経理部門の方々の今後の経営計画立案にご参考になれば幸いです。

2016年12月
クロス・ボーダー・ブリッジ株式会社
代表取締役 藤原 裕

連載は2017年1月9日(月)より開始予定となります。お楽しみに!