「一風堂」「幸楽苑」「町田商店」「ラーメン山岡家」の上場ラーメン4社がそろって業績を伸ばしている。
各社間でばらつきはあるものの、2023年4-6月の国内既存店の売上高がそろって前年同期を上回っており、コロナ禍の影響で赤字に陥っていた企業も今期は黒字転換を見込むなど、ラーメン需要の回復が鮮明だ。
東京商工リサーチの調べによると、2023年上期(1-6月)の飲食業の倒産件数が、上期では1994年以降の30年間で最多となった。新型コロナウイスがインフルエンザなどと同じ感染力の弱い5類になったことから日常生活が戻りつつあるものの、飲食業を取り巻く環境はまだまだ厳しいことが分かる。
やはりラーメンは強いのか。各社の状況を見てみると…。
博多ラーメン店「一風堂」を運営する力の源ホールディングス<3561>の2023年4-6月の国内既存店の売上高は4月が前年同月比126.0%と高い伸びを示し、その後110%台に下がったものの、3カ月平均では119.8%の伸びとなった。
海外での状況はさらに良く、海外直営店の売上高は3カ月間120%台を維持した。同社は海外比率が50%近くに達しているため業績へのプラスの影響は大きく、2024年3月期は8.6%の増収、11.4%の営業増益を見込む。
横浜家系ラーメン店「町田商店」などを運営するギフトホールディングス<9279>の4-6月の国内既存店の売上高はさらに伸び率が高く、4月に140%台をつけ、5月、6月は130%台後半を維持した。このため2023年10月期は20.5%の増収、30.4%の営業増益と急激な成長を見込む。
北海道を拠点とするラーメンチェーン店「ラーメン山岡家」を運営する丸千代山岡家<3399>も同様に高い伸びとなっており、3カ月間はいずれも130%台で推移した。同社の2024年1月期は9.2%の増収、5.6%の営業増益の予想だ。
福島を拠点とするラーメンチェーン店「幸楽苑」を運営する幸楽苑ホールディングス<7554>の伸び率は3社に比べると落ちるが、それでも4-6月の平均は102.5%と前年同期を上回った。
同社は2021年3月期から2023年3月期まで3期連続の営業赤字に陥っていたが、2024年3月期は4期ぶりに営業黒字に転換する見込みだ。売上高も2.1%の増加を予想する。
4社の今期の売上高予想はいずれも200億円台で、従来数倍あった売上格差は小さくなってきた。今後の需要取り込みの状況次第では順位の入れ替えもありそうだ。
飲食業はコロナ禍の影響で休業や時短営業に追い込まれ、ここ数年厳しい状況が続いており、協力金や支援金で何とか経営を維持してきた企業は少なくない。
こうした支援策が終了したところに、エネルギ―価格や物流費、人件費などの上昇が重なったことで倒産が増加しており、東京商工リサーチの調べでは、2023年上期の飲食業倒産(負債1000万円以上)は424件(前年同期は237件)と前年同期に比べ78.9%も増加した。
東京商工リサーチは「食材費や電気代の高騰によるコストアップが重く、2023年の飲食業倒産は過去最多を更新する可能性も出てきた」としている。
文:M&A Online
外食業界でM&Aが続いている。その舞台はハンバーガーショップ、唐揚げ専門店、宅配ピザ…。アフターコロナを見据え、事業ポートフォリオの最適化に向けた動きが引きも切らない。