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一風堂が方針を急転換、低投資・早期回収のロードサイド型を強化
一風堂が新常態に向けてビジネスモデルを大きく転換しました。これまでは繁華街やショッピングモールを中心に出店してきましたが、矢継ぎ早にロードサイドと小商圏型の店舗を出店。低投資で早期回収が見込める郊外型へとスイッチしました。ラーメン店の中でも一風堂は苦戦をしています。
家系ラーメン「町田商店」を運営するギフトホールディングス<9279>の業績が好調です。2023年10月期第1四半期の売上高は前年同期間比30.5%増の52億600万円、営業利益は同13.6%増の5億3,300万円でした。時短協力金などの助成金の影響により、経常利益は下がっているものの、本業で稼ぐ力はコロナ禍を経ても衰えていません。
ギフトは通期の売上高を前期比20.5%増の205億円、営業利益を同30.4%増の20億5,000万円と予想しています。予想通りに着地すると、営業利益率は10.0%。かつて大きく水をあけられていた丸千代山岡家<3399>の売上高、営業利益率ともに追い越す勢いで成長しています。
この記事では以下の情報が得られます。
・ギフトの業績
・業績好調の背景と成長戦略
2023年10月期第1四半期の売上高における上期予想(97億円)の進捗率は53.7%。2022年10月期第1四半期の進捗率は49.4%でした。早いペースで拡大しています。
ギフトはコロナ禍においても、売上高の成長率20%以上をキープしてきました。営業赤字を出すこともなく、本業で稼ぐ力を失いませんでした。
「一風堂」の力の源ホールディングス<3561>は、2021年3月期に9億8,000万円の営業赤字となりました。繁華街に出店し、インバウンド需要の獲得や海外展開を強化していたことが、新型コロナウイルス感染拡大で大打撃となりました。
ギフトと同様にコロナ禍でも業績が安定ていたのが、ロードサイド型の店舗を多く出店する丸千代山岡家でした。山岡家はコロナになる前の2020年1月期の売上高が141億600万円で、ギフトの90億5,200万円を1.6倍も上回っていました。
しかし、猛スピードで成長するギフトが、それを逆転しようとしています。両社が2023年度の業績を予想通り通過すると、ギフトは山岡家の売上高を追い越します。
ギフトが驚異的なのは、営業利益率が極めて高いこと。2022年10月期の実績で9.2%でした。山岡家の2.8%を大きく上回っています。業績好調の王将フードサービス<9936>さえも追い越す強さです。
ギフトの営業利益率が高い要因の一つに、直営店の比率が低いことが挙げられます。2023年1月末の段階で直営店は168店舗。全体の23.7%に過ぎません。山岡家は全店が直営店です。
ギフトはフランチャイズ制度は採用していません。プロデュースという独自の事業を展開しています。プロデュースはギフトの直営工場や取引先から麺、タレ、スープ、餃子、チャーシューなどのPB商品を各店舗に提供しています。保証金や加盟料、ロイヤリティを徴収していません。店舗立ち上げ時のプロデュースを、食材の購入を条件に原則無償で提供しています。
プロデュース事業の2022年1月期の売上高は28億7,500万円でした。直営店事業の売上高が141億3,900万円とプロデュース事業を圧倒していますが、事業別の従業員数を見ると直営店事業が419名で、プロデュース事業が16名。1人当たりの売上高は直営店が3,400万円、プロデュースが1億8,000万円。プロデュース事業は極めて効率的に稼いでいることがわかります。
通常のフランチャイズはロイヤリティを徴収するために、店舗の経営指導を行うスーパーバイザーが必要。しかし、プロデュースにはそれがありません。経営コンサルティングを行うスーパーバイザーは人材獲得の難易度が高く、育成にも時間がかかります。
ギフトは独自のプロデューススタイルを確立することで、フランチャイズ事業の難点を突破しました。
しがないサラリーマンが30代で飲食店オーナーを目指しながら、日々精進するためのブログ「ビールを飲む理由」を書いています。サービス、飲食、フード、不動産にまつわる情報を書き込んでいます。飲食店、宿泊施設、民泊、結婚式場の経営者やオーナー、それを目指す人、サービス業に従事している人、就職を考えている人に有益な情報を届けるためのブログです。やがて、そうした人たちの交流の場になれば最高です。
一風堂が新常態に向けてビジネスモデルを大きく転換しました。これまでは繁華街やショッピングモールを中心に出店してきましたが、矢継ぎ早にロードサイドと小商圏型の店舗を出店。低投資で早期回収が見込める郊外型へとスイッチしました。ラーメン店の中でも一風堂は苦戦をしています。