会社の規模の大小に問わず、どの会社にも固有の企業文化(カルチャー)があります。買収後のアフターM&Aの事業運営にあたって、十分な配慮が必要になるのが、この「違い」です。
いわゆる「俺色に染まれ」的なM&Aでは、うまくいかないと考えてよいでしょう。カルチャーの違う会社を無理に統合し、買い手企業のやり方や流儀を押し付けようとすると、買収した会社の業績を支えていた優秀な社員が次々と辞めてしまうといった不幸な事態になりかねません(実際によくある話です)。
もちろん、業績が悪い会社を買収した際には、業績の建て直しが必要ですから、儲かっている会社のカルチャーを浸透させていくような社員の意識改革も必要となるでしょう。
一方で、業績の良い会社を買収した場合には、必要以上の変化を強いることは大きなマイナスにつながることがあります。相手の企業文化を尊重せず、買い手側が一方的に従わせようとすると、買収された会社の社員のモチベーションが下がり、業績の悪化へとつながってしまうからです。
アフターM&AのマネジメントをPMI(ポストマージャーインテグレーション;Post Merger Integration)といいますが、高度なコンサルティングを必要としない中小企業のM&Aであっても、企業文化の違いに気を配るだけで、失敗のリスクが低くなります。
アフターM&Aにおいては、十分なコミュニケーションをとって、お互いの企業文化に配慮しつつ、社員のモチベーションをいかに高めていくかが非常に重要となります。
文:M&A Online編集部
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