会社の一部だけの譲渡は、事業譲渡や会社分割といった手法で行うことが出来ます。
どの部分を売り、どの部分を残すのか、どのような手法を選択するのかについては、事業上の要因のほかに、顧客や取引先との関係、特に金融機関などに対しても配慮して決める必要があります。
また、手法により譲渡代金の受け取り方や税金も異なりますので、税理士などを交えて事前にシミュレーションを行ったほうがよいでしょう。
ただしM&Aはお相手があってのこと。会社の一部分だけを切り分けても買い手が魅力を感じるか、複雑な手法を用いることを買い手が嫌がらないか、など交渉相手のことも考えて検討する姿勢が大切です。
採算の悪い事業を切り離して、業績の良い事業に集中する戦略的譲渡です。採算の悪い譲渡対象の事業を欲しがる相手がいるかどうかがポイントです。事業を切り離すことが目的なので、売却条件にこだわるより、交渉がまとまることを優先すべきです。
引退を希望していたり、運用コストが重たいなど、優良部門を譲渡して借り入れを返済したり、残った事業を手仕舞いするケースです。不採算部門の譲渡に比べて買い手はつきやすいといえます。手元に残った不採算事業は速やかに整理すべきでしょう。
多角化など事業を広げすぎた部分を整理するために、一部を譲渡するケースです。残った事業に譲渡代金を再投資して、コア事業への集中を図ります。
買い手の付きやすい事業の分け方を考えることも重要。また複雑な手法(スキーム)はM&Aに不慣れな買い手企業には嫌がられるので注意しましょう。
文:M&A Online編集部
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