経産省、税制改正要望においてグループ離脱時における取扱いの中期的検討の必要性を指摘

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経済産業省(東京・霞が関)

税務:経産省、税制改正要望においてグループ離脱時における取扱いの中期的検討の必要性を指摘

 2021年8月31日、経済産業省は令和4年度税制改正要望書を公表し、その中において「企業の生産性を向上させる事業再編を円滑化するための所要の措置」について要望がなされました(「本要望」)。
 2022年4月1日から施行されるグループ通算制度においては、グループ通算制度から離脱する法人の株式の取得簿価を、当該法人の簿価純資産価額に一致させることとされています(改正後法人税法施行令119条の3第5項)。そのため、当該法人の株式を買収した際に支払ったプレミアム相当額について、取得簿価に算入することが制限される結果となることから、とりわけ経済界の一部から強い批判がなされています。
 本要望においては、「グループ通算制度における、グループ通算子法人のグループ離脱時の取り扱い等について、制度の施行状況や組織再編税制との整合性等を踏まえ、中期的に必要な検討を行うことにより、事業再編の円滑化を通じた企業の生産性向上を目指す。」とされているのみであり、具体的な改正の内容や時期について触れられてはいません。そのため、本要望をもって直ちに上記取扱いに変更がなされるものとは思われませんが、引き続き今後の動向が注目されます。

<参考資料>「令和4年度税制改正要望書」(国税)
https://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2022/zeisei_r/pdf/kokuzei.pdf

パートナー 大石 篤史
アソシエイト 安部 慶彦

森・濱田松本法律事務所 ClientAlert 2021年10月号 vol.94より転載

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