BEPSという言葉を聞いたことはあるでしょうか。税源浸食と利益移転(Base Erosion and Profit Shifting)というやや仰々しい用語を略したのがこのBEPSというものです。各国政府は国際的な企業展開によって自国の税収が侵されることを食い止めようと躍起になっています。

OECD(経済協力開発機構)は多国籍企業による過度の節税を防止するためのアクションプランを公表するなどBEPS対応プロジェクトを展開しており、各国政府もこうした国際ルールに対する協力体制を強化しています。

外国子会社合算税制はこうしたBEPS対応プロジェクトに関連する重要なテーマでもあります。今回は外国子会社合算税制とはどのような仕組みの制度なのかを紹介したいと思います。

BEPSを食い止めるための施策

A国とB国で法人所得に対する税率が異なる場合、国際的な企業グループであれば、税率の高い国にある法人から税率の低い国にある法人へ利益(所得)を移してグループ全体の税額を低く抑えることも可能です。このような方法で過度に租税回避することが横行すれば各国の税収にも大きな影響を与えます。

このような状況を防ぐとともに公平な課税を実現するためには、PE課税、過少資本税制、移転価格税制、外国子会社合算税制など様々な制度を厳格に適用していく必要があります。本稿では、それぞれの制度内容ついて説明することはできませんが、このうちの外国子会社合算税制に絞って概要を確認してみましょう。

外国子会社合算税制とは?

外国子会社合算税制はタックスヘイブン対策税制とも呼ばれます。パナマ文書やパラダイス文書が流出し、政府要人などの租税回避行為がスキャンダラスに報じられたことからタックスヘイブンという言葉には馴染みがあるかもしれません。

タックスヘイブンは租税回避地や軽課税国と訳されるものです。外国子会社合算税制は、このような租税負担割合の低い国に一定の外国子会社等を有している場合に、自社の所得だけでなく、その外国子会社等の所得も合算して課税がなされるものです。

典型的な例では、税率の低い国にペーパー・カンパニーを作り、所得をそのペーパー・カンパニーに移転するような行為が対象となります。これは、まさに我が国の税収が海外に逃げていくのを防止するための制度といっても良いでしょう。