「グループ法人税制」と聞くと、大規模なグループ会社に適用される特別な税制というイメージを持たれる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、実際には100%親子会社の関係があれば否応なく適用される身近な制度といえるものです。

グループ法人税制は平成22年度税制改正により導入され、実務では定着しているものの、一般には馴染みのない制度といえるでしょう。今回は、用語的に類似している連結納税制度との違いにも触れながら、グループ法人税制の概要を紹介したいと思います。

「連結納税」と「グループ法人税制」の違いは?

グループ法人税制というのは、完全支配関係、つまり100%グループ内における資産の譲渡損益を繰り延べたり、受贈益や寄付金を益金や損金から除外したり、受取配当金を益金不算入とする制度です。完全支配関係にあるグループ会社は一つのまとまりとみなして課税しようという思考にもとづくものです。

これに対して、連結納税は完全支配関係にあるグループ会社の所得を親法人がまとめて申告および納税をする制度です。例えば、グループ内で赤字の法人と黒字の法人がある場合、それらの所得が通算されるため、グループ全体の税額が低く抑えられるというメリットがあります。

連結納税の適用を受けたい場合には、親法人が所轄税務署長を経由して国税庁長官に承認申請書を提出することになりますが、グループ法人税制は、要件に該当すれば強制的に適用されるものであり、適用の有無を選ぶことができないという違いがあります。

グループ法人税制における譲渡損益の繰延

グループ法人税制で特徴的な点としては、完全支配関係のあるグループ内の法人間で一定の資産を移転したことにより生じる譲渡損益が繰り延べられることが挙げられます。つまり、その資産をグループ外へ移転する時まで損金や益金に算入されません。対象となる資産は、固定資産、土地(土地の上に存する権利を含む)、有価証券、金銭債権、繰延資産です。

例えば、含み損を抱えている土地を100%子会社に譲渡することによって、親会社側で損金を計上し、所得を抑えるといったことができません。これは完全支配関係を利用して所得を恣意的に操作することを防止するという意味を持っています。

グループ会社間での寄付金の取扱いとは

完全支配関係のあるグループ内の法人間で寄付を行った場合も調整が必要となります。一般にイメージされるような金銭の支出による寄付金は法人間では考えにくいことですが、例えば、グループ法人間で貸付金の返済を免除したような場合、税務上は借り手の法人に対する寄付金として認定される場合があります。

貸し手法人の会計上は債務免除損などの費用が計上されますが、税務申告においては寄付金として損金不算入の処理(加算調整)が必要となります。逆に、借り手法人の会計上は債務免除益などの収益が計上されますが、税務申告においては益金不算入の処理(減算調整)を行うことになります。