2019年12月12日、与党により令和2年度税制改正大綱(「大綱」)が公表され、同12月20日に閣議決定されました。M&A実務との関係では、国内の事業会社及びコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)が設立後10年未満の未上場ベンチャー企業に1億円以上を出資する場合に、出資額の25%を所得金額から控除して税負担を軽減する「オープンイノベーション促進税制」の創設が注目に値します。
「オープンイノベーション促進税制」は、大企業等による、イノベーションの担い手となるスタートアップへの新たな資金供給の促進を政策目的として創設された制度であり、2020年4月1日から2022年3月31日までの間に行われた出資に適用されます。
出資を行う法人が大企業の場合は1億円以上、中小企業の場合は1,000万円以上の金銭による出資が、また、出資を行う法人の規模にかかわらず、海外のベンチャー企業への出資の場合は5億円以上の金銭による出資が、それぞれ要件となります。また、出資後5年間の株式保有が要件となっており、5年以内に株式譲渡や配当の受取り等の特別勘定の取崩し事由に該当する行為が行われた場合には、控除額を益金算入しなければならない点に、留意する必要があります。
パートナー 大石 篤史
アソシエイト 芝村 佳奈
森・濱田松本法律事務所の小山浩弁護士が税務調査において争点となる項目を取引の観点からまとめた書籍「取引の実態からみる税務調査のポイントQ&A」を発刊した。
中小企業の経営や事業承継に活用したい、さまざまな手法をビジネス・ブレインの畑中孝介税理士が解説。今回は事業承継税制の注意点をお届けします。