贈与税や相続税の納税が猶予される事業承継税制は、次世代経営者へのバトンタッチを促進する制度として期待されています。ただし、このような納税猶予が認められない会社として「資産保有型会社」と「資産運用型会社」があります。

「資産保有型会社」および「資産運用型会社」とはどのような会社を指すのでしょうか。これらの会社の概要や要件について、2019年度税制改正にも触れながら解説したいと思います。

事業承継税制の一般措置と特例措置

事業承継税制とは、後継者が取得する非上場株式などにかかる贈与税や相続税について、一定の要件のもと、納税を猶予する制度です。その後、後継者が死亡することなどにより、贈与税・相続税の納付が免除されます。

これまでの一般措置では、納税猶予の対象となる非上場株式は総株式数の3分の2まで、納税猶予の割合も80%までという制限がありました。しかし、2018年度税制改正において、これらの制限を10年間という期限付きで撤廃する特例措置が創設されました。

「資産保有型会社」と「資産運用型会社」の概要

しかし、このような事業承継税制の対象とはならない会社があります。それが「資産保有型会社」と「資産運用型会社」です。

このうち「資産保有型会社」は保有する「特定資産」の合計額が資産総額の70%以上となる会社を指します。「特定資産」というのは、現預金、株式や公社債などの有価証券、自社で使用していない不動産、絵画などの動産や貴金属、ゴルフ会員権を始めとする施設利用権などの資産です。

つまり、実業というよりは、運用目的の資産などを保有することが主体の会社は「資産保有型会社」ということになります。「資産保有型会社」に該当するかどうかの判定は、贈与や相続による事業承継を行った日が属する事業年度の直前の事業年度から申告書の提出期限までの帳簿上の残高により行います。

もう一方の「資産運用型会社」は「特定資産」の運用収入の合計が総収入金額の75%以上である会社を指します。こちらも同様に、実業による収入がメインではない会社ということができます。「資産運用型会社」に該当するかどうかの判定は、贈与や相続による事業承継を行った日が属する事業年度の直前の事業年度における収入を基準に行います。