すべての日本企業を適用対象として、EBITDAを基準とする支払利子の損金算入制限を来年の税制改正で導入することが現在検討されています。「EBITDA」とは企業の収益力を測る指標であり、バリエーションはありますが「EBITDA=税引前当期純利益+支払利息+減価償却費」等の計算式により計算されます。

 現行法では、内国法人の支払利子は原則として損金算入が可能であり、国外関連者からの借入等の支払利子のみが「過大支払利子税制」や「過少資本税制」による損金算入制限の対象とされています。

 しかし、OECDが主導するBEPSプロジェクトの提言を受けて、現行の過大支払利子税制(Earnings Stripping Rules)を抜本的に改正し、内国法人のすべての支払利子について損金算入制限の対象とすることが現在関係省庁で議論されています。この新たなルールは、大要、内国法人の純支払利子(支払利子-受取利子)がEBITDAの10~30%(具体的な割合は今後決定) を超える場合に、その超過額を損金不算入とする、というものです。

 新たなルールは、関連者への支払利子だけでなく、銀行借入や社債等の非関連者への支払利子をも対象とすることが見込まれています。そのため、負債比率の高い企業(インフラ企業、外部借入で資金調達を行いM&Aを積極的に行っている企業等)に多大なインパクトを与える可能性があります。また、EBITDAには通常受取配当を含みますが、BEPSプロジェクトの提言に基づき、益金不算入となる配当額がこのルールの適用上EBITDAから除かれる可能性があり、収益の大半が子会社からの受取配当である持株会社が外部借入を行っている場合等にも損金算入が制限されることとなる可能性があります。

 経産省や経団連は、この新たなルールが日本企業による健全な投資を阻害しないよう求めていますが、今後の動向を注視する必要があります。

パートナー 大石 篤史
アソシエイト 栗原 宏幸

文:森・濱田松本法律事務所 Client Alert 2018年10月号 vol.58より転載