「セカンドPMI」という新しい旗を振る

インタビューする山口レポーター

ー田中さんのチームが掲げる旗の1つが「セカンドPMI」です。M&Aの世界でPMIという言葉はかなり定着していると聞きますが、どんな違いがあるのですか。

すでにお話したように、PMIはM&Aの最終工程のこと。ただ、その定義は人によってさまざまで、M&A後のおおよそ1年間の統合活動として認識されることが多い。これに対して、最初のPMIで積み残したこと、できなかったことについて、数年後に再度行うPMIを、「セカンドPMI」と名づけた。キャッチーなネーミングだし、クライアントから関心を持たれることが多い。

1度目のPMIでは人事制度や経理ルール、システムなど制度や仕組みのハード面の統合に主眼が置かれ、人の感情が絡むような工場・営業拠点や子会社の再編などは積み残しになりがち。セカンドPMIの出番となる。実際、PMIをやり直したいという要望は多い。

ー思ったように業績が上がらないなど、現実にはM&Aの失敗事例が多いということでしょうか。

そもそも、失敗かどうか業績だけで判断はできないと考える。一つ言えることは、M&Aの当事者が当初の目的をあきらめた時が失敗だろう。周りから失敗だといわれていても、セカンドPMIをやったら成功するかもしれない。M&Aにはすべての社員が巻き込まれる。何かしらの痛みや摩擦、犠牲を伴う。これを無駄にしないためにも失敗といわれるM&Aをゼロにしたい。

セカンドPMIで最近多いのは、統合後のビジョンの再設定。その際、われわれは青写真を描くが、意見の集約も誘導もしない。買収した側も買収された側も会社を良くしたいという思いは同じ。コンサルタントとしての仮説をぶつけながらも、右か左か、どちらに進みたいかを決めるのは最終的にはクライアント。関係者が建設的に議論を行い、合理的かつ納得できる意思決定をすることが大事だと思っている。

ークライアントとしては大企業が多いのですか、それとも中堅・中小クラスの企業ですか。

売上高でいえば、数千億円以上の大手企業がほとんどで、比較的小規模なところでも500億円クラス。潜在的なニーズに手ごたえを感じている。最初にセカンドPMIを依頼され、その有効性を評価していただいたクライアントから、別にM&Aの案件があった場合に前工程の戦略策定やディールの部分でコンサルティングを頼まれることが多い。いい流れができつつある。