互いの良さを引き出し合う“和えるM&A”を追求する

ー著書「ポストM&A成功の44の鉄則」(4月発刊。日経BP社)を出されましたが、副題には“決め手はセカンドPMI”とあります。

M&Aの専門書は山ほどあるが、M&A後にフォーカスしたものとなると数冊程度しかなく、ほぼ未開拓の領域。それもM&Aから3年以上経過しているようなケースを想定し、セカンドPMIの考え方をまとめたのはおそらく初めて。M&A後に困っている人に役に立つことができればうれしい。

また、業種の垣根を越えて、「ポストM&A研究会」という場を主宰している。買収後の子会社の経営人材育成など様々なテーマで議論している。

ーところで、ご自身のキャリア形成を踏まえ、会社ではどんな人材を求めているのですか。

私のチームは、1人のスタッフでM&Aの戦略策定からセカンドPMIまでのプロセス全体をサポートできるのが売り物。金融機関や証券会社のM&A経験者も集めているが、やはり育成が鍵となる。学生インターンは常時3-4人いる。

ー学生インターンは何をやるのですか。

実際の仕事。ケーススタディーではなく、目の前にあるプロジェクトに参画してもらう。当社に入社するとアナリストの肩書からスタートするが、このアナリストと同じ仕事を与える。財務分析などもきっちりやってもらう。この2年余りの間、学生インターンを総勢20人ほど受け入れた。辛くて1日で辞めたケースもあるが、インターンをきっかけに入社したメンバーも3人いる。

ー最後に、今後の目標を教えてください。

われわれが理想とするのは「和えるM&A」。日本料理の素晴らしさは素材の良さを生かし、互いを引き立て、新しい味に転化することにあるといわれる。まさにM&Aも同じ。出自の異なる者同士がお互いの良さを引き出し合いながら、一つになることによってより強く、魅力的な組織ができると思っている。私自身、クライアントよりもクライアントのことを考える、そんなコンサルタントでありたい。M&Aに対するリテラシー(理解)を高める活動にも今まで以上に力を入れたい。

ーちょっと難しいところがあり、途中、冷や汗をかいてしまいました。でも興味深い話ばかりで、大変勉強になりました。ありがとうございました。

田中 大貴さん(たなか・だいき)ベイカレント・コンサルティング マネージングディレクター。早稲田大学卒。マッキンゼー、ジェネックスパートナーズなどを経て、2016年1月から現職。M&Aコンサルティングサービス部門である「M&Aストラテジー」を率いる。M&A戦略策定、ポストM&A支援、M&A知見化が専門。東京都出身。近著に「ポストM&A成功44の鉄則 決め手は“セカンドPMI”」(日経BP社刊)。

文:M&A Online編集部