【M&A戦略】M&Aと提携を巧みに使い分けプラットフォームを強化

LINEの沿革と主なM&A

年月内容
2000年10月 ネイバーの完全子会社としてハンゲームジャパンを設立
2003年8月 NHN Japan に社名を変更
2006年12月 オンラインゲーム開発をするマルチタームを完全子会社化
2009年7月 キュレーションプラットフォーム「NAVERまとめ」提供開始
2010年5月 LDH(旧ライブドアホールディングス)からポータルサイトやブログサービスを運営するライブドア(売上高93億円)の全株式を93億円で取得し、完全子会社化
2011年6月 メッセージアプリ「LINE」をサービス開始
2013年4月 LINE に社名を変更
2014年6月 セールスフォース・ドットコムと提携
2014年9月 モバイルオンラインゲーム開発をするgumiの第三者割当増資を引き受け、資本業務提携
2014年10月 コミックを中心とするデジタルコンテンツ配信のグローバル展開を推進するためのLINEの連結子会社であるLINE Book Distributionにおいて、新たに講談社・小学館・メディアドゥの3社と資本業務提携を行い、4社の合弁事業会社として発足
2014年10月 ゲーム事業において、グリーとの共同出資による合弁会社として、Epic Voyageを設立
2014年11月 ゲーム事業において、サイバーエージェントとの共同出資による合弁会社として、グリーンモンスターを設立
2014年12月 音楽配信事業において、エイベックス・デジタル、ソニー・ミュージックエンタテインメントとの共同出資による合弁会社として、LINE MUSICを設立
2015年2月 インテリジェンスホールディングスとの共同出資による合弁会社として、AUBEを設立、アルバイト求人情報サービス「LINEバイト」を公開
2016年2月 モバイル広告会社M.T.Burnの株式50.5%を取得し、子会社化
2016年7月 ニューヨーク証券取引所、東京証券取引所一部に上場
2016年10月 宅配ポータルサイト「出前館」を運営する夢の街創造員会の株式20%を既存株主から40億円で取得し、持分法適用会社化
2016年10月 ネイバーの完全子会社で、自撮りアプリを開発するSnow Corporation の第三者割当増資46億円を引き受け、持分法適用会社化(持分割合25%)
2017年3月 クラウドAI プラットフォーム「Clova(クローバ)」を活用したバーチャルホームロボットの共同開発を目的として、ウィンクルと資本業務提携し、同社を子会社化

M&A Online編集部作成

  LINEのM&A戦略は、同社の代名詞とも言えるメッセージアプリ「LINE」がリリースされた2011年前後で、大きな変化が起きている。

 2011年以前に買収した会社は2社で、それぞれ①オンラインゲーム開発をするマルチターム、②ポータルサイトやブログサービスを運営するライブドアである。このM&Aの位置づけは、自社が新規で提供を始めたサービス(①ハンゲーム事業、②NAVERまとめ事業)の強化という側面が強い。

 一方で、2011年以後は、既存の顧客に対する新規サービスの立ち上げをおこなう目的でM&Aを活用している。また、M&A以外にも、資本提携や合弁会社の設立といった手法も活用して急速に新規事業立ち上げを図っている。実数としては、2014年からの3年間でM&Aは4件、提携は7社になっている。

 特徴的な動きを見ておこう。2016年2月にはモバイル向けの広告サービスに強みを持つM.T.Burnを買収しており、LINEの主要収益源である広告収入に寄与している。2016年10月には立て続けに、宅配サービス「出前館」を運営する夢の街創造委員会と若年層を中心に一世を風靡する自撮りアプリ「Snow」を開発するSnow Corporation を持分法適用会社化している。両件とも「LINE」ユーザーへのサービス拡充という観点からのM&Aである。

 M&Aを進めるのと並行して、提携を通じた新規事業立ち上げが様々な分野でおこなわれている。ゲーム分野においては、gumi、グリー、サイバーエージェントと提携して、現在のスマートフォンゲームのブームに乗っている。

 音楽分野においては、エイベックス、ソニー・ミュージックと提携して進出を果たした。さらに、講談社、小学館らとの提携によりコミックを中心としたデジタルコンテンツ分野へも進出し、若年層をメインターゲットとしたエンターテイメント分野で勢力を拡大している。近年各社が志向するプラットフォーム戦略のお手本のような展開である。

 さらに、人材紹介大手インテリジェンスとも提携して、こちらも若年層をメインターゲットとしたバイト求人の紹介サービスも開始した。このように、LINEは明確な事業戦略のもとM&Aと提携を巧みに使い分け、プラットフォームの強化に成功している。