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IPO戦線に「異変」? 上場前の資本金が小型化、5000万円以下が4社に1社に
IPO(新規株式公開)戦線に「異変」が起きている。今年、東証に新規上場した企業のうち、上場前の資本金が5000万円以下のところが25%と4社に1社を占める。2018年19%、2017年15%と比べ、急上昇だ。何が起きているのか。
串カツ田中のビジネスモデルは、新規出店と安売りキャンペーンで客数を引き上げ、売上高を大きくするというものです。しかし、ここ3カ月ほどで出店による集客力も伸び悩みが鮮明になってきました。
昨年対比(%) | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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売上高 | 135.1 | 135.1 | 130.4 | 129.6 | 118.6 | 115.5 | 125.6 |
客数 | 143.2 | 146.3 | 141.3 | 130.9 | 123 | 120.7 | 124.2 |
客単価 | 94.4 | 92.3 | 92.3 | 99 | 96.5 | 95.7 | 101.2 |
上の表は2019年の全店の売上高、客数、客単価です。売上高は2月に150%を超えるなど驚異的な勢いで稼いでいましたが、繁忙期に差し掛かる10月は120%を切りました。12月は125%で着地です。居酒屋業態で昨対120%を超えれば十分な売上といえますが、串カツ田中のこれまでの成長スピードと比較をすると見劣りがします。ちなみに、2018年12月の売上高は161%でした。
串カツ田中のPERは43.3倍です。2期連続で純損失を計上したエー・ピーカンパニー(居酒屋「塚田農場」など運営)は45.7倍。串カツ田中を上回っています。株価が冴えない背景には、今がピークとの見方が潜んでいるのかもしれません。
集客手法は安売りに偏るようになってきました。遡って見てみると、毎月3回の安売りキャンペーンを実施しています。居酒屋でここまで値引き企画を実施するのは異例です。目先の売上を落とさないため、顧客を無理やり繋ぎ止めているように見えます。
日付 | キャンペーン名 | 内容 |
2019年12月27日 | 2019年12月プレミアムフライデー | 終日串カツほぼ全品100円 |
2019年12月23日 | 777円で鶏手羽など食べ放題 | 777円で唐揚げ、鶏手羽串、ポテトフライ食べ放題 |
2019年12月1日 | 串カツ田中創業祭 | 串カツ全品100円 |
2019年11月29日 | 串カツ田中のブラックフライデー | 終日串カツほぼ全品100円 |
2019年11月21日 | 串カツ田中でボジョレーパーティー | 女性1,000円、男性1,500円でボジョレー飲み放題 |
2019年11月11日 | 串カツ田中の日 | 串カツ全品食べ放題1,111円 |
今後、価格をフックとしたキャンペーンを実施し続けることになり、陳腐化によって集客力が鈍化することはほぼ間違いありません。
長らく掲げている大目標は1,000店舗体制です。今後は関東圏以外にも積極的に出店するとしています。同社の説明を聞く限り、これが市場調査に基づいているとは考えづらいです。
地方店を加速する理由として、串カツ田中が全国規模の認知度を得て、客単価が低く地方でも受け入れられやすい業態であり、実際に地方の売上が好調だから、串カツの需要があるだろうとしています。地方進出の説明としては、決定打に欠けているように思えてなりません。
同社は地方攻略として、ロードサイド型(ファミリーレストラン型串カツ酒場)を開発しました。2019年3月に前橋、8月に佐野に出店しています。駅チカの小規模店でのオペレーションを得意としてきた串カツ田中が、不慣れなロードサイド型を市場投入したのです。ファミリーレストランよりも専門性が高い、新たなポジショニングを狙ったといいます。しかし、この分野では焼肉、回転ずしという圧倒的強者がいます。串カツがその牙城を崩せるほどの力を秘めているのか、やや疑問が残ります。
関東圏以外の店舗割合は、2018年11月期の28%から33%まで上昇しています。地方攻略とロードサイド店の成功で、このままの成長力を牽引できるのか。注目が集まっています。
麦とホップ@ビールを飲む理由
しがないサラリーマンが30代で飲食店オーナーを目指しながら、日々精進するためのブログ「ビールを飲む理由」を書いています。サービス、飲食、フード、不動産にまつわる情報を書き込んでいます。飲食店、宿泊施設、民泊、結婚式場の経営者やオーナー、それを目指す人、サービス業に従事している人、就職を考えている人に有益な情報を届けるためのブログです。やがて、そうした人たちの交流の場になれば最高です。 ブログはこちら 「ビールを飲む理由」
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