大型のM&Aが業績を左右
小林製薬は創業者である小林忠兵衛氏が1886年に、名古屋市で雑貨や化粧品の店・小林盛大堂を創業したのが始まり。1912年に大阪市に小林大薬房を設立。さらに19年には小林盛大堂と小林大薬房を合併し、小林大薬房を創立した。1940年に製剤部門を分離し小林製薬を設立し、56年に現在につながる体制が整った。
その後いくつものM&Aを実施してきた。主なものだけでも2001年のカイロ製造販売会社・桐灰化学の子会社化や、06年のアイルランドの医療機器製造販売会社eVent Medical Ltd.の子会社化、13年の医薬品・医薬部外品・化粧品の製造販売会社・六陽製薬と化粧品の製造販売会社・ジュジュ化粧品の子会社化などがある。
さらに16年の米国の一般用医薬品・化粧品の企画販売会社Perfecta Products,Inc.の子会社化や、19年12月期を最終年度とする中期経営計画中に実施した案件などが続く。
その19年12月期の業績は売上高1730億円(前年度比3.3%増)、営業利益273億円(同3.8%増)、当期純利益190億円(5.4%増)の予想。配当は2円増配の68円を見込む。実現すれば、22期連続の当期純利益増益、21期連続の増配となる。
大型M&Aを目標に掲げる2020年12月期から2022年12月期の業績はどう推移するだろうか。小林製薬にとって、これまでに経験したことのない大型のM&Aが実現すれば、これが業績を大きく左右することは間違いない。その日は着々と近づいている。
年 | 小林製薬の沿革と主なM&A |
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1886年 | 創業者・小林忠兵衛氏が名古屋市に雑貨や化粧品の店・小林盛大堂を創業 |
1912年 | 大阪市に小林大薬房を設立 |
1919年 | 小林盛大堂と小林大薬房を合併し、小林大薬房を創立 |
1940年 | 製剤部門を分離し小林製薬を設立 |
1956年 | 小林製薬を合併し社名を小林製薬に変更 |
1972年 | 米国のC.R.Bard,Inc.と業務提携し日本メディコを設立 |
1976年 | 日本メディコをC.R.Bard, Incとの合弁会社・メディコンに変更 |
1983年 | 製造拠点として富山小林製薬を設立 |
1988年 | 製造拠点としてエンゼルを子会社化 |
1993年 | 製造拠点として仙台小林製薬を設立 |
1999年 | 大阪証券取引所市場第二部に上場 |
2000年 | 東京証券取引所市場第一部に上場、大阪証券取引所市場第一部に指定 |
2001年 | カイロ製造販売会社・桐灰化学を子会社化 |
2002年 | 上海小林友誼日化有限公司を完全子会社化 |
2003年 | 日立造船から健康食品事業の営業権取得 |
2005年 | 笹岡薬品から女性保健薬「命の母A」の独占販売権取得 |
2006年 | アイルランドの医療機器製造販売会社eVent Medical Ltd.を子会社化 |
2006年 | 米国のカイロ製造販売会社Heat Max, Inc.を子会社化 |
2008年 | 石原薬品工業からビスラットゴールドの商標権取得 |
2011年 | eVent Medical INC.の全株式を譲渡 |
2011年 | 台湾に台湾小林薬業股份有限公司を設立 |
2012年 | 米国のカイロ製造販売会社Grabber, Inc.を子会社化 |
2012年 | 小林メディカル株式の80%を三菱商事に譲渡 |
2013年 | 医薬品・医薬部外品・化粧品の製造販売会社・六陽製薬を子会社化 |
2013年 | 日本メディカルネクストの全株式を三菱商事に譲渡 |
2013年 | 化粧品の製造販売会社・ジュジュ化粧品を子会社化 |
2015年 | 七ふく製薬から丸薬七ふくブランドを譲受け |
2016年 | グンゼ株式会社から「紅麹事業」譲受け |
2016年 | 米国の一般用医薬品・化粧品の企画販売会社Perfecta Products,Inc.を子会社化 |
2017年 | 南アフリカのユニオンスイス社からバイオイルの独占販売権取得 |
2018年 | 中国の医薬品製造販売会社・江蘇中丹製薬有限公司を子会社化 |
2019年 | 梅丹、古式梅肉エキスの梅丹本舗を子会社化 |
文:M&A online編集部