大胆な経営資源の配分を

2019年5月に子会社化した梅丹本舗は1925年創業の梅肉を使用した健康食品メーカー。梅丹本舗が保有するブランドと、小林製薬が持つマーケティング力や研究開発力などを合わせることで新たな価値を提供できると判断した。

小林製薬では食物繊維を簡単に摂取できる「イージーファイバー」ブランドや、生活習慣が気になる人向けの健康茶「杜仲茶」ブランドを取得するなど事業強化に取り組んでおり、ここに「梅丹」や「古式梅肉エキス」が加わることで事業の幅が広がる。

また18年3月に子会社化した中国の江蘇中丹製薬有限公司は、染料・化学原料メーカーの江蘇中丹集団股份有限公司の完全子会社で、医薬品の製造販売を手がけている。

同社が持つ中国での医薬品の製造ノウハウと、小林製薬が持つマーケティング力、技術ノウハウなどを活用し、28年には中国のOTC医薬品事業で40 億円の売り上げを目指している。中国以外のアジア各国でもOTC 医薬品発売に向け、 継続してM&Aに取り組むとしている。

さらに17年6月にバイオイルの独占販売権を取得したユニオンスイス社は、美容オイルの世界的なメーカー。バイオイルは1987年に南アフリカで発売され、現在は世界124カ国で販売されており、完治したキズあとやニキビあとなどの肌をケアするユニークなコンセプトを持つ。

日本ではバラエティーショップやドラッグストアを中心に2006年から発売されている。ただ同社はスキンケア事業の取り組みは、これだけでは不十分との認識を持っており、「ケシミン」「オードムーゲ」に次ぐ柱となるブランドの創出に向けM&Aを実行する計画だ。

小林製薬では将来のための成長投資としてM&Aに300億円の枠を設けているが、梅丹本舗の18年8月期の売上高が5億1800万円であったことや、江蘇中丹製薬有限公司も16年12月期の売上高が約3億3800万円だったことから、300億円に達していないだろうことが容易に想像できる。

さらにバイオイルの独占販売権の取得についても17年当時に、3年後の売上目標を10億円としており、大きな額が動いたとは考えにくい。この点について同社の社外取締役である伊藤邦雄一橋大学大学院経営管理研究科特任教授は「M&Aを着実に行ってはいるが、規模が小さいM&Aが多い印象。今後は大胆な経営資源の配分を実行することも必要」と分析する。

まさに、これが20年からの経営計画の目標として掲げる大型M&Aを実行する際のよりどころとなりそうだ。