2.会社分割契約書作成時の注意点

会社分割契約書を作成する際には、以下のような点に注意しましょう。

2-1.法定記載事項

会社分割では、会社法によって記載が義務づけられている法定記載事項があります。その内容は以下の通りです。

①分割会社、承継会社の商号と住所
本契約書では3条に記載されています。

②承継会社が分割会社から承継する資産や債務、雇用契約などの権利義務
本契約書では11条に記載されています。資産や負債の内容は具体的に書き入れましょう。別紙明細書をつけてもかまいません。

③吸収分割によって株式を承継させる場合には、株式に関する事項
本契約書では5条に記載されています。株式数も特定しましょう。

④承継会社が吸収会社に金銭を交付する場合には資本金や準備金に関する事項
会社分割によって吸収会社の資本金や準備金が増加する場合、具体的な金額を記載します。本契約書では6条に記載されています。

新株予約権や社債を与える場合には、それらに関する事項
本契約では予定されていないので記載がありませんが、もしも新株予約権や社債を付与する場合にはそれに関する事項を記載する必要があります。

⑥吸収分割の効力発生日
必ず会社分割の効力が発生する日にちを特定する必要があります。本契約書では8条に記載されています。ただし進行上の必要性によって変更すべき場合には、当事者の協議によって変更可能としています。

2-2.定めておいた方が良い事項

以下では、記載しておいた方が良い任意的な記載事項についてみていきましょう。

従業員の承継や役員の待遇
会社分割を行うとき、従業員や役員の待遇を明確化しておかないと、M&A実行後の立場が不安定となる可能性があるので、契約書に明記しましょう。

従業員については、基本的に従来の雇用条件によってすべて承継することになります。役員については、これまでの任期がそのまま維持されることにするケースが多数です。本契約書では12条、13条にそれぞれ定めを置いています。

契約の解除や変更
天変地異などによってどうしても契約の遂行が困難となった場合には、協議の上契約内容を変更あるいは解除できるとしておきましょう。本契約書では15条に記載されています。

善管注意義務
契約後、効力発生日までに吸収会社が不適切な行動をとったことによって承継会社が迷惑を被るおそれを防止するため、吸収会社には適切な財産管理義務と経営に関する善管注意義務を課します。本契約書では9条に定めを置いています。

競業避止義務
吸収会社が承継会社と同種事業を営むと承継会社が迷惑を被るので、吸収会社は競業避止義務を負います。ただし契約により、競業避止義務を負わないと定めることも可能です。本契約では10条で競業避止義務を負わせる内容にしています。

株主総会
会社分割をするには、当事者それぞれにおける株主総会決議が必要です。日にちも明らかにして、株主総会を開催すべきことを契約書で定めておきましょう。本契約書では7条に定めを置いています。

秘密保持
M&Aではお互いに営業に関する機密事項を開示するので、秘密保持に関する事項も定めておきます。本契約書では17条に記載しています。

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会社分割をうまく利用すると、事業の発展に役立てることが可能です。今回ご紹介したひな形を御社流にアレンジして、M&Aを成功させてください。

※ 上記はあくまでサンプルです。事案により内容は変わります。

文:福谷陽子(法律ライター)/編集:M&A Online編集部