M&Aを行うときの「秘密保持契約書」のサンプル書式と作成上の注意点

「秘密保持契約(Non-Disclosure Agreement、Confidencial Agreement)」とは、M&A交渉前に締結する契約のことです。「守秘義務契約」や「機密保持契約」、略称の「NDA」や「CA」と呼ぶ人もいます。

M&Aを行うときには、相手企業と「秘密保持契約」を締結する必要があります。なぜなら相手に営業機密を開示することになるからです。

秘密保持契約書にはどのようなことを記載すれば良いのか、ひな形とともにご説明します。

1.秘密保持契約書のひな形(サンプル書式)

まずは秘密保持契約書のひな形を示します。

秘 密 保 持 契 約 書

株式会社 (以下「甲」という。)と 株式会社(以下「乙」という。)は、甲乙が株式譲渡契約によるM&Aを行うに際し、甲が乙に開示した情報の取扱いについて以下の通り契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(目的)
本契約の目的は、甲及び乙が2019年〇月〇日付基本契約にもとづくM&Aを行い、相互に発展を遂げることとする(以下「本件目的」という)。

第2条(秘密情報)
本契約において「秘密情報」とは、甲が乙に書面や口頭、電子メール、電子データその他方法を問わず開示した技術上または営業上の情報であり、開示の際に秘密情報であると表明した一切の情報とする。ただし次の各号の一に該当する情報は含まない。
1 甲から開示を受けた時点で既に公知であった情報
2 甲から開示を受ける前に乙が取得していた情報
3 乙が正当な権限を有する第三者から秘密保持義務を負うことなく取得した情報
4 乙が甲から開示を受けた後、乙の責に帰すべからざる事由によって公知となった情報

第3条(秘密保持義務)
1 乙は秘密情報を第三者に開示または漏えいしてはならない。ただし次の各号の一に該当する場合、この限りでない。
(1) 乙が本契約の目的を遂行するために必要な範囲で乙の役員や従業員に秘密情報を開示する場合
(2) 乙が開示について事前の甲から書面による同意を得た場合
(3) 乙が法令上の義務にもとづき裁判所や官公庁その他の公的機関に秘密情報を開示する場合
2 乙は前項の(1)または(2)にもとづいて秘密情報を開示するに先立ち、甲に対し開示を受ける者が甲に対し本契約と同様の秘密保持義務負うことを確約する書面を提出する。
3 乙が第1項(1)または(2)に基づいて秘密情報を第三者に開示した場合、乙は当該第三者による秘密情報の管理及び利用その他の取扱いについても責任を負う。

第4条(目的外使用の禁止)
乙は甲から得た秘密情報につき、本件目的を達成するためにのみ使用することとし、これ以外の目的に使用しない。

第5条(複 製)
乙は事前に書面による甲の承諾なしに秘密情報を複製または複写してはならない。

第6条(成果の帰属)
乙が秘密情報にもとづいて発明、意匠や著作物等知的財産の創作をした場合、速やかに甲に通知し、その帰属について協議する。

第7条(秘密情報の返還)
1 乙は本契約が終了したときあるいは甲から要求されたとき、直ちに秘密情報が記録された書面その他の媒体(複製、要約されたものを含む)の一切を甲に返還しなければならない。
2 甲は乙に対し、前項の返還に代えてあるいは同時に前項に記載された媒体を乙の責任で廃棄し、廃棄の事実を証明する文書資料の提出を求めることができる。

第8条(差止請求、損害賠償請求)
1 乙が本契約に違反した場合、甲は乙に対し秘密情報の使用を差し止め請求することができる。
2 乙が本契約に違反して甲に損害を与えた場合、乙は損害の拡大防止のため適切な措置をとり発生した損害を賠償する。

第9条(反社会的勢力の排除)
1 甲及び乙は、相手方に対し、次の各号のいずれかにも該当せず、かつ将来にわたっても該当しないことを表明し、保証する。
(1) 自ら又は自らの役員もしくは自らの経営に実質的に関与している者が、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団等その他反社会的勢力(以下総称して「反社会的勢力」という。)であること。
(2)反社会的勢力が経営を支配していると認められる関係を有すること。
(3)反社会的勢力が経営に実質的に関与していると認められる関係を有すること。
(4)自ら若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもってするなど、反社会的勢力を利用していると認められる関係を有すること。
(5) 反社会的勢力に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていると認められる関係を有すること。
(6)自らの役員又は自らの経営に実質的に関与している者が、反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を有すること。
2 甲及び乙は、相手方に対し、自ら次の各号のいずれかに該当する行為を行わず、又は第三者を利用してかかる行為を行わせないことを表明し、保証する。
(1)暴力的又は脅迫的な言動を用いる不当な要求行為。
(2)相手方の名誉や信用等を毀損する行為。
(3)偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害する行為。
(4)その他これらに準ずる行為。
3 甲又は乙は、相手方が前二項のいずれかに違反し、又は虚偽の申告をしたことが判明した場合、契約解除の意思を書面(電子メール等の電磁的方法を含む。)で通知の上、直ちに本契約を解除することができる。この場合において、前二項のいずれかに違反し、又は虚偽の申告をした相手方は、解除権を行使した他方当事者に対し、当該解除に基づく損害賠償を請求することはできない。
4 前項に定める解除は、解除権を行使した当事者による他方当事者に対する損害賠償の請求を妨げない。

第10条(有効期間)
1 本契約の有効期間は,本契約締結日より〇年とする。
2 前項の有効期間経過後であっても,第3条ないし第5条の規定は本契約終了後__年間効力が存続する。

第11条(専属的合意管轄裁判所)
本契約に関する紛争については, 地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

本契約の成立を証するため本契約書を2通作成し,甲乙各記名押印の上,各1通を保有する。

2019年 〇月 〇日

甲:
住 所 
会 社 名
代表取締役  印

乙:
住 所
会 社 名 
代表取締役  印

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