スマートホン以外の何かが出てくる

-私の先輩も起業したのですが、学生による起業についてはどのように対応されていますか。

「二つのファンクションがある。一つはベンチャーの人たちに応募していただいて半年から1年間期間を決めていろんなアドバイスをするというプログラム。もう一つはファンド。単純にお金を支援してあげて事業を大きくするためのお手伝いをする。支援事業では学生の起業家を応援するプログラムを実施したことがある。4年くらい前に始めて、今もスポットで行っている」

-スタートアップ企業を支援する大企業が増えていますが、スタートアップ企業の取り合いなどは起こらないのでしょうか。

「昔はそう言われていた。しかし、それではスタートアップ企業を一道具と捉えていることになる。スタートアップ企業は将来の芽であり宝なのだから、本来はこれをみんなで伸ばしましょうという発想でなければならない。そうなると取り合いなどは起きないはず。日本のスタートアップ支援も10年くらい経ってずいぶんと成熟してきた。取り合いなどの状況は一段落したのではないだろうか」

-スマートホンが生活の一部になっていて、何か新しいサービスを始める時はスマートホン抜きで考えることはまずないと思うのですが、スマートホン関連のビジネスはどういう状況でしょうか。

「今はスマートホンがデファクトになっているが、これからはスマートホンだけではなくなっていくのではないだろうか。スマートホンが登場して10年が経っており、そろそろパラダイムシフトが起きるはずだと思っている。これをポストスマホと呼んでおり、スマートホン以外の何かが出てくる時代がくるのではないかと思っている」

-どのような時代になりそうですか。

「日本では来年から5Gが始まる。通信規格が3G、4Gと上がっていくと何が違うかというと通信速度が速くなるだけだが、速度が変わるとサービスが変わってくる。例えば3Gだとキラーアプリはeメールだった。4GではSNSが流行った。5Gでは通信機能が広がる。車や家電、信号機、ビル、トイレなど通信機が入る」

「通信機はこれまではスマートホンだったが、これからはビルの壁を見ればトイレの空き状況やレストランの空き情報、私が欲しいTシャツのサイズがどこの店にあるのかといったことが分かるようになる。情報を得るのにゴーグルのようなものがいるかもしれないし、スマートホンをかざす必要があるかもしれないが、今のようにスマートホンで検索する必要はなくなる。スマートホンの時代は今がピークだろう」

「そうした新しい時代に備えて、KDDIはVPS(ビジュアルポジショニングサービス)という技術を導入しようとしている。ビルの画像に座標を埋め込むことで、壁面を認識できるようする技術だ。ビルの何階にどんな店舗があるかというネットの情報と結びつけることで、ゴーグルなどでその建物を見るだけで情報が取り出せる。このVPSの技術を持っている米国企業に出資しており、現在5Gのサービス開始に向けてVPSによる日本の3Dマップを作っている」

「これができ上ると、ビルの壁面に広告を張ったり、壁面をディスプレイにしたりできる。地下街やビルの各フロアーも画像に座標を埋め込めば、地下街でのナビが可能になり、ショッピングセンター内の店舗の情報なども簡単に取り出せるようになる」