【追記・訂正】記事中、「宮崎県産の地鶏としていた料理が、実はブロイラー(大量飼育用の雑種鶏)を使ったものだった。」という表現を削除し、「ブロイラーを使用した2商品(チキン南蛮、月見つくね)に、ブロイラーの表記をしていなかった。」に改めました。ブロイラーを使用した商品に地鶏の表記を行った事実はなく、訂正してお詫び申し上げます。

居酒屋「塚田農場」を運営するエー・ピーカンパニー<3175>が大苦戦を強いられています。2021年3月期第1四半期の売上高は前期比79.5%減の12億5700万円となりました。緊急事態宣言で店舗の一部閉店や時間短縮営業に迫られ、売上高が大幅に減少しました。営業損失は8億3900万円(前年同期は2900万円の黒字)、純損失を14億9600万円(前年同期は2400万円の黒字)計上しています。

これによって純資産は4900万円となり、債務超過ギリギリにまで追い込まれました。本社機能を大門駅近くのビルから池袋の店舗跡へと移転するなど、苦しい経費削減策を繰り出しています。

この記事では以下の情報が得られます。

・エー・ピーカンパニーの業績
・会社が抱えている課題

景表法違反による打撃に新型コロナの影響が重なる

エー・ピーカンパニー本部
本社機能を移したビルには「塚田農場」の看板が残る

エー・ピーカンパニーは2001年設立の若い会社。居酒屋「塚田農場」を大ヒットさせて1部上場企業に成長を遂げました。

「塚田農場」の人気に火をつけた要因は3つあります。1つは農場と直接契約した地鶏を仕入れて自然派をうたった点。もう1つは、来店客に名刺を配るなどリピーター対策を施して常連客をつかまえたこと。そして接客力を落とさないよう、アルバイト店員に予算をつけ、その範囲内で自由な接客サービスをさせたことです。

しかし、店舗を拡大するに従ってサービス力の低下を免れることはできませんでした。競合店も常連客を手放さないための似た施策を打ち始め、差別化が図れなくなります。そしてダメ押しとなったのが、2018年5月に消費者庁に指摘された景品表示法違反。ブロイラーを使用した2商品(チキン南蛮、月見つくね)に、ブロイラーの表記をしていなかったというものでした。

エー・ピーカンパニーは、景品表示法違反を指摘された2019年3月期に減損損失13億5000万円を計上し、20億2800万円の純損失となりました。

業績推移2018年3月期2019年3月期2020年3月期
売上高257億2300万円
(1.1%減)
245億7700万円
(4.4%減)
230億7200万円
(6.1%減)
純利益△2億5200万円△20億2800万円1億1700万円
純資産34億7100万円14億800万円15億4200万円

有価証券報告書より筆者作成

そこに新型コロナウイルスが襲い掛かり、四半期で14億9600万円の損失を計上。純資産は5000万円ほどとなってしまったのです。増資によって資金を調達するか、子会社を売却するか。何らかの手を打たざるを得ない状況になりました。

エー・ピーカンパニーが苦しいのは、発行可能株式総数が2400万株に留まること。8月21日の株価の終値は412円でした。仮に350円で発行可能な株式すべてを割り当てることができたとしてさえ、84億円ほどしか調達できないのです。運営する店舗数は200。新型コロナウイルスの感染拡大によって、大幅な業態転換や退店が必要な居酒屋企業にとって、あまりにも心もとない金額です。

どこかの段階で増資をすることは間違いないとしても、子会社に手をつけるのが先になるかもしれません。