「モノからコト」への徹底

今回のモーターショーでは自動車関連の職業体験やミニ電気自動車(EV)の試乗会など、自動車という「モノ」を見るから、体験する「コト」を重視している。これが話題となって親子連れの入場者が増えた。

次回のモーターショーでも「コト」重視の体験型イベントを増やすべきだ。インターネットで新車情報は誰でも容易に入手できるようになった。モーターショーでしか体験できない「コト」をいかに増やすのかが集客増の要になるだろう。

トヨタは最高時速10Km以下で免許不要な「歩行領域EV」を2021年に投入する。同車を次回のモーターショーで発表し、試乗のうえ気に入ったら購入してそのまま持ち帰ることができるといった「体験」+「物販」の取り組みも面白いだろう。

ラグビーやサッカーのワールドカップ、オリンピックのように、ヒットメーカーのミュージシャンに依頼してモーターショーの「テーマ曲」を制作する方法もある。一般の人がその曲を聴けば「東京モーターショー」をイメージできるようになれば大成功だ。

クルマをテーマにした音楽フェスやアート展、大学生や高専生、高校生によるEVコンテストなど「自動車離れ」が進む若い世代をクルマに引き戻す取り組みは極めて重要だ。こうした取り組みはは単にモーターショーの集客にとどまらず、国内自動車市場の再活性化にもつながる。

「他業種とのコラボ」を強化

今回のモーターショーで最も話題になり、高い集客効果があった子供向け職業体験型施設「Out of KidZania in TMS2019」には約10,000人の子どもたちが参加した。これは同様の施設をグローバルで展開したキッザニアとのコラボ(協業)だった。

1万人の子どもを集めた「Out of KidZania in TMS2019」

もし自工会や自動車メーカーが「キッザニアもどき」の職業体験コーナーを開設していたとしたら、ここまでの集客は難しかっただろう。やはり「餅は餅屋」、企画や運営は専門企業の手を借りることだ。

有名デザイナーがデザインしたアパレルなら、自工会が自前で準備するよりもユニクロ(ファーストリテイリング<9983>)に依頼した方が良い。

集客装置としてフードコートを設けるのなら、一流のレストランやホテルに出展してもらう。あるいはB級グルメフェスの主催者と協業する。今、日本で最も競争力がある自動車業界からの申し出をむげに断る企業はないだろう。

コラボのもう一つの効用として、コラボした企業が自分たちの顧客に告知することで、自動車ファン以外へのモーターショーのPR効果も高まる。うまくいけば広告宣伝費の削減にもつながるだろう。東京モーターショーの変革は始まったばかり。まだまだ「変わる」余地はある。

文:M&A Online編集部