このように筆者は合併を通じてユダヤ教徒はVOCの統治者(=株主)」ではなく、債権者にしかなれなかったのはないかと推察している。しかし、ユダヤ教徒がVOCの株主になれなかったからといって、VOCの成長(ビジネス)に、彼らの貢献が全然なかったということにはならない。そこで次はユダヤ教徒とVOCの関係を、事業成長の側面から「ビジネス・デューデリジェンス」してみよう。
植民地獲得競争において、スペインやポルトガルに後れを取ったオランダ。彼らが直面した最初の課題はなんだっただろうか...
オランダ東インド会社(VOC)誕生前に、すでに6つの投資集団グループが存在し、これらのグループが合併することで、VOCが誕生した。株式会社そのものが存在しないタイミングで、匿名組合のような投資集団同士がどうやって直接「合併」したのだろうか。
1486年5月、コロンブスはカトリック両王に拝謁した。コルドバの王宮で開催された運命のプレゼンで、コロンブスはイザベルに訴える。邪教に耽り、キリストの福音を知らぬまま、死んで地獄に落ちる憐れな未開の異教徒たちを聖なる教えに導いて救うと。
イベリア半島諸王国はユダヤ教徒を国王隷属民として管理し、様々な宮廷業務-とりわけ資金調達業務に従事させた。これはユダヤ教徒の金融業としては「ホールセール」にあたる。その内容は単なる融資や貸付とは異なるものだった。それが「徴税請負人」である。
「金(ゴールド)」の発見という初期ビジネスモデル仮説が頓挫した中、トーマス・スマイスをはじめとするヴァージニア会社の投資家と経営者はどうしたのか。現代のスタートアップ用語でいうならば、どうハードピボット(事業転換)したのか。その行方を追う。