前回のコラムでは、コロンブスの処女航海における資金調達額が200万マラベディ(推計価値約10億円)だったことを紹介した。そしてコロンブスは3人の投資家から、筆者が「メザニン投資(*1)」と推察する25万マラベティを引き出した。
そして残りは、大物宮廷ユダヤ人のルイス・デ・サンタンゲルが工面した...
コロンブスの第1回航海に必要とされた約200万マラベディ。感覚的にどのくらいの額だろうか。諸資料に最も頻出する換算値から平均的な値を取って、日本円にしておおよそ10億円くらいという感覚で理解しておく。その費用を一体誰が拠出したのだろうか?
レコンキスタ(イスラム教徒に奪われたイベリア半島の最征服)が進展すると、キリスト教系王国によってユダヤ人は徴税業務を担わされ、特別目的会社(SPC)のようなビークルを活用した「徴税債権の証券化」スキームを開発した。現代の財政理論にも通じる。
新型コロナウイルスの猛威が世界を覆っている。このウイルスの影響はすでに多くで語られている通り、私たちの経済社会そのものを根底から変えてしまうかもしれない。人類は昔から疫病と戦ってきた。そしてそれは大航海時代や資本主義経済の原動力となった。
この連載コラムでは「間違いだらけのコーポレートガバナンス」と題して、「コーポレートガバナンスの万能性」について懐疑的な視点から考察している。今回はこの連載の核となる「コーポレートガバナンスと企業成長、イノベーション」について説明しよう。