前回のコラムでは、コロンブスの処女航海における資金調達額が200万マラベディ(推計価値約10億円)だったことを紹介した。そしてコロンブスは3人の投資家から、筆者が「メザニン投資(*1)」と推察する25万マラベティを引き出した。
そして残りは、大物宮廷ユダヤ人のルイス・デ・サンタンゲルが工面した。彼は市民警察組織のプール資金である「特別会計埋蔵金」から140万マラベディをひねり出し、残る35万マラベディは自分のポケットマネーから出したと伝わる。
このサンタンゲルの資金はのちに十字軍の寄付基金から自身が回収しており、個人的な負担は実質的にゼロだったという説もある。しかし、その経緯や真偽は明らかではないため、本コラムではサンタンゲルが一定額のポケットマネーを拠出したという立場を取る。
大西洋に金塊をばらまくようなこのプロジェクトに、なぜサンタンゲルはそこまでコミットしたのか。それが筆者の最大の関心事のひとつだ。それには、やはり彼の改宗ユダヤ人としての複雑な立場が決定的に影響していると考えられる。
IGNiTE CAPITAL PARTNERS株式会社 (イグナイトキャピタルパートナーズ株式会社)代表取締役/パートナー
投資ファンド運営会社において、不動産投資ファンド運営業務等を経て、GMDコーポレートファイナンス(現KPMG FAS)に参画。 M&Aアドバイザリー業務に従事。その後、JAFCO事業投資本部にて、マネジメントバイアウト(MBO)投資業務に従事。投資案件発掘活動、買収・売却や、投資先の株式公開支援に携わる。そののち、IBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS 現在IBMに統合)に参画し、事業ポートフォリオ戦略立案、ベンチャー設立支援等、コーポレートファイナンス領域を中心にプロジェクトに参画。2013年にIGNiTE設立。ファイナンシャルアドバイザリー業務に加え、自己資金によるベンチャー投資を推進。
横浜国立大学経済学部国際経済学科卒業(マクロ経済政策、国際経済論)
公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員 CMA®、日本ファイナンス学会会員
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