一国の歴史を紐解くと、大きな流れの結節点とも呼べる「運命の年」が存在する。例えば日本で「天下分け目」といえば、だれでも1600年の関ケ原の戦いを思い浮かべるだろう。思想の巨人フランス系ユダヤ人のジャックアタリ氏によれば、スペインにおける「運命の年」は1492年だ。
アタリ氏はこの年を、スペインという一国家にとってだけではなく、世界史における「運命の年」として位置づけている...
1347年に欧州に上陸したペストは、ほどなく南欧イベリア半島に到達する。そして欧州各地で繰り広げられた惨劇が、この地でもまた繰り返される。ユダヤ教徒は隔離されたゲットーで生活し、衛生面や食事面でユダヤ教の厳しい戒律(コーシャ)を守っていた。
コロナ禍に直面している今、水面下ではコロナ新薬の開発をめぐって激しい競争が繰り広げられている。これは、もちろん開発に成功した場合の利権を狙ってのことだ。まさに中世でも同じことが起こった。引き金は伝染病のペスト。ペストの大流行は経済を変えた。
「株式会社」は大航海時代の商業活動から誕生した。しかし、世間で言われる「株式会社がイノベーションを起こした」は間違いで、「イノベーションが株式会社を生んだ」のである。それではイノベーションを起こす「源泉」は何か?物語は大航海時代から始まる。