株式会社制度の起源と言えるオランダ東インド会社(VOC)の合併による誕生。スペインやポルトガル、そしてイスラム圏からオランダに移り住んだユダヤ教徒は、VOCの成立にどのように関わったのか。そこにはプロテスタントの影響が色濃く反映されていた。
1492年にスペイン王国から追放されたユダヤ教徒たちは欧州やイスラム圏に散っていった。その後、オランダで新興宗教プロテスタントを信じる人々が、スペインからの独立という挑戦を試みる。そこに宗教と商業の寛容を求めるユダヤ教徒たちが集まってくる。
イベリア半島を舞台とし、スペインキリスト教国家の中で人生を翻弄されたユダヤ教徒の人々の足跡を追ってきた本コラム。1492年、ついにスペインを追放されたユダヤ教徒の一部は16世紀以降オランダに集結。近代の「幕開け」に立ち会っていくことになる。
コロンブスの航海について最後に触れておくべきは、やはり日本のことだろう。コロンブスは日本を発見しなかったし、想像したほどの黄金が無いことはすぐ分かった。が、西洋はある意味黄金よりも興味深いものを発見することになる。それは「日本人」だ。
スペイン王国と世界の歴史に大きく影響を与えた重要な議題が審議された1492年の3月20日の王の諮問会議に、それぞれ要職にあった3人の宮廷ユダヤ人が臨んだ。そしてユダヤ人たちの犠牲により、コロンブスの航海は成功し、「大航海時代」が幕を開けた。
スペイン政府は日本からスペインに入国する際の新型コロナウイルス関連のワクチン接種証明書や、回復証明書、陰性証明書の提示義務を撤廃した。今後、日本出発の海外旅行に動きが現れそうだ。
前回のコラムでは、コロンブスの処女航海における資金調達額が200万マラベディ(推計価値約10億円)だったことを紹介した。コロンブスは3人の投資家から、25万マラベティを引き出した。残る大部分の資金を調達した大物宮廷ユダヤ人について考察する。
コロンブスの第1回航海に必要とされた約200万マラベディ。感覚的にどのくらいの額だろうか。諸資料に最も頻出する換算値から平均的な値を取って、日本円にしておおよそ10億円くらいという感覚で理解しておく。その費用を一体誰が拠出したのだろうか?
1486年5月、コロンブスはカトリック両王に拝謁した。コルドバの王宮で開催された運命のプレゼンで、コロンブスはイザベルに訴える。邪教に耽り、キリストの福音を知らぬまま、死んで地獄に落ちる憐れな未開の異教徒たちを聖なる教えに導いて救うと。
前回のコラムでは、コロンブスがその初航海の途上でカトリック両王に送ったとされる書簡について触れた。そして、彼の航海には真のスポンサー「ルイス・デ・サンタンゲル」という宮廷ユダヤ人がいたことに触れた。今回はまず彼の出自とその業務を確認しよう。