前回のコラムでは、近代株式会社におけるコーポレートファイナンス(企業金融)の仕組みが、オランダ東インド会社における有限責任原則の成立によって始まったことを頭出しした。そして、同社の成立につながる大きな歴史の流れの中に、疫病(ペスト)の発生を引き金としたキリスト教徒による凄惨なユダヤ教徒迫害の存在があるという筆者の考えを述べた。

ユダヤ教の成立とキリスト教誕生前夜

いったい何のことか。多くの読者は非常な唐突感を感じるだろう。まず「一神教とは何か」という点について触れる必要がある。一神教を取り上げる際、それを筆者がどのように解釈しているのかを共有しないと、議論を始められないからだ。

 本稿における「一神教」とは、ユダヤ教とキリスト教を指す。そして、キリスト教はユダヤ教から派生した一神教だ。この2つの宗教について、筆者自身の基本的理解を共有したい。最初に断っておくと、筆者自身は特定の宗教を信仰する者ではない。また言うまでもなくこのコラムは特定の宗教を賛美または否定するものではない。