前回のコラムでは、コロンブスの処女航海がついに成功し、すぐさま2回目の航海も許可されたことを書いた。この2回目の航海では、イベリア半島から追放したユダヤ教徒から略奪した財産が充当されたことを述べた。そして、航海の成功とユダヤ人の追放において、それぞれ重要な役割を果たした宮廷ユダヤ人、サンタンゲルとトルケマダは1498年、共にこの世を去った。このコラムの「スペイン編」の最後に、コロンブスの航海を端緒とした大航海時代の幕開けの時代における、西洋と日本の運命的な邂逅についても触れておこう...
スペイン王国と世界の歴史に大きく影響を与えた重要な議題が審議された1492年の3月20日の王の諮問会議に、それぞれ要職にあった3人の宮廷ユダヤ人が臨んだ。そしてユダヤ人たちの犠牲により、コロンブスの航海は成功し、「大航海時代」が幕を開けた。
歴史を紐解くと大きな流れの結節点とも呼べる「運命の年」が存在する。日本で「天下分け目」といえば1600年の関ケ原の戦いを思い浮かべるだろう。思想の巨人フランス系ユダヤ人のジャックアタリ氏によれば、スペインにおける「運命の年」は1492年だ。
一神教と疫病とコーポレートファイナンスの関係を探る連載の3回目。今回は一神教であるユダヤ教の基本理念を解説する。ユダヤ教は「律法主義」「メシア信仰」「選民思想」を重視するが、その真意は意外にも現代の契約社会に通じる合理的で平等な概念だった。
株主資本主義大国でありながら、イノベーション王国(起業家大国)でもある米国。注目すべき仕組みの一つが、「デュアルクラス」(複数議決権株式の活用)だ。これは、起業家(創業メンバー含む)に、1株に複数の議決権がついた株式を割り当てるものである。