前回のコラムでは、コロンブスの処女航海がついに成功し、すぐさま2回目の航海も許可されたことを書いた。この2回目の航海では、イベリア半島から追放したユダヤ教徒から略奪した財産が充当されたことを述べた。そして、航海の成功とユダヤ人の追放において、それぞれ重要な役割を果たした宮廷ユダヤ人、サンタンゲルとトルケマダは1498年、共にこの世を去った。このコラムの「スペイン編」の最後に、コロンブスの航海を端緒とした大航海時代の幕開けの時代における、西洋と日本の運命的な邂逅についても触れておこう。
コロンブスの航海について、最後に触れておくべきは、やはり日本のことだろう。マルコポーロの見聞録に記述された黄金の国ジパング。コロンブスの航海の主目的は、ジパングの発見ではなかった。しかし、もしかしたらジパングにも到達できるかも知れない。そのような期待があったことも確かだろう。
コロンブスはジパングを発見しなかったし、のちにそれが発見された時、そこに黄金など無いことはすぐ分かった。だが、西洋はある意味黄金よりも興味深いものを発見することになる。それは日本人だ。
ナザレのイエスがキリスト(救世主)であると知らずに生きる日本人。ある者は古代からの神々を敬い、ある者は仏に祈る。この、「邪教」に耽る憐れな異教徒は闇に惑い、救いを必要としているはずだった。ところが、どうやら日本人は、何がしかの道徳や規律を持っているようだ。
さらには当時、日本が戦国時代だったこともあって確かな軍事力を持っていた。そして、その力で自らの領土と価値観を守ることが出来ている。金持ちも貧乏人もそれなりに幸せそうに暮らしている。そんなバカな!唯一神のもとに創られたこの世界に「例外」があるはずがない。
これは西洋キリスト教社会の人々の価値観を揺さぶり、脳みそを「バグらせる」のに十分なインパクトがあっただろう。そして勿論(もちろん)日本もまた、西洋を「発見」し、その文明に触れ、その考え方や生活様式、そして経済の仕組みを学び、取り入れていくことになる。しかし、それらの「輸入リスト」の中に、なぜかキリスト教は含まれなかった。
IGNiTE CAPITAL PARTNERS株式会社 (イグナイトキャピタルパートナーズ株式会社)代表取締役/パートナー
投資ファンド運営会社において、不動産投資ファンド運営業務等を経て、GMDコーポレートファイナンス(現KPMG FAS)に参画。 M&Aアドバイザリー業務に従事。その後、JAFCO事業投資本部にて、マネジメントバイアウト(MBO)投資業務に従事。投資案件発掘活動、買収・売却や、投資先の株式公開支援に携わる。そののち、IBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS 現在IBMに統合)に参画し、事業ポートフォリオ戦略立案、ベンチャー設立支援等、コーポレートファイナンス領域を中心にプロジェクトに参画。2013年にIGNiTE設立。ファイナンシャルアドバイザリー業務に加え、自己資金によるベンチャー投資を推進。
横浜国立大学経済学部国際経済学科卒業(マクロ経済政策、国際経済論)
公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員 CMA®、日本ファイナンス学会会員
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