前回のコラムでは、欧州に離散したユダヤ教徒が金融業に進出していった経緯について筆者の見方を述べた。離散ユダヤ教徒は、金融家である前に起業家であり、なによりも前にまず「プロフェッショナル(専門家)」だった。それがこのコラムの立場だ。
わざわざ彼らのディアスポラの歴史から紐(ひも)解いてこの見方を述べたのは、金融とユダヤ教徒について最も一般的とされる説明に、筆者はかなり懐疑的だからである...
スペインに渡ったユダヤ教徒たちは、どのようにして経済的に自立し、定住したのか。そして、どのような経緯で、金融の発展に関わっていくことになるのか。今回から本題となるユダヤ教徒と企業金融(コーポレートファイナンス)の歴史について触れていきたい。
投資ファンドは「1株1議決権」を前提として、株主権を存分に行使してリターンの最大化を目指す。ある意味、米国株主資本主義を究極まで純化した存在といえる。その投資ファンドが自らは一般株主の権利を著しく制限する特殊な議決権構造を採用しているのだ。