1486年5月、コロンブスはカトリック両王に拝謁した。コルドバの王宮で開催された運命のプレゼンで、コロンブスはイザベルに訴える。邪教に耽り、キリストの福音を知らぬまま、死んで地獄に落ちる憐れな未開の異教徒たちを聖なる教えに導いて救うと。
そしてフェルディナンドにも訴える。この新貿易ルート開拓が、スペイン王国に巨万のリターンをもたらすだろうと。コロンブスは、両王の政治的関心事を正確に分析し、それぞれに対して「グサッと刺さる」一世一代のプレゼンを行った...
前回のコラムでは、コロンブスがその初航海の途上でカトリック両王に送ったとされる書簡について触れた。そして、彼の航海には真のスポンサー「ルイス・デ・サンタンゲル」という宮廷ユダヤ人がいたことに触れた。今回はまず彼の出自とその業務を確認しよう。
ユダヤ教徒は貿易業などの本業を営みつつ、多角化の一環として金融業を早くから営んでいた。ユダヤ教徒の金融業の発展過程とその背景について書いてみたい。キーワードは「宮廷ユダヤ人」だ。そして舞台はイベリア半島(現在のスペインとポルトガル)である。
米国経済の本質的根幹をなすのは起業家精神ではないか。少なくとも米国人は本音ではそう思っているのではないか。さもなくばデュアルクラスのような仕組みを制度として市場が許容することの説明がつかない。では、こうした起業家精神の源流は一体なんなのか。