もちろん有限責任制度がなぜ生まれたかということについて、今さら大塚氏の偉業を紐解くまでもなく、全てのコーポ―レートファイナンスの入門書にその理由が記されていることは当然筆者も認識している。
「有限責任制度が生まれることで、投資家は自己の責任とリスクを、出資額を上限して限定できるようになった。この有限責任制度が確立することで、大規模な資本を集めることができるようになった」との説明だ。これは本当だろうか。
この普遍的な原則に全面的な異論を唱えるつもりは全くない...
1492年にスペイン王国から追放されたユダヤ教徒たちは欧州やイスラム圏に散っていった。その後、オランダで新興宗教プロテスタントを信じる人々が、スペインからの独立という挑戦を試みる。そこに宗教と商業の寛容を求めるユダヤ教徒たちが集まってくる。
コロンブスの新大陸発見には「真のスポンサー」が存在した。既に幅広く研究されているコロンブスの航海そのものより、この航海のシードインベスターでありリードインベスターであった宮廷ユダヤ人と同航海における彼の資本政策に焦点を当てて考察してみよう。
恐らく最も一般的に理解されているユダヤ教徒と金融の関係についての通説は「キリスト教は金利を禁じていたから、キリスト教徒は貸金業をしなかった」「ユダヤ教では異教徒からは金利を取ってもよいという教えだったから、金融業を独占した」。本当だろうか?
前回まで米国におけるデュアルクラスの普及について解説した。翻って日本はどうか。日本でも数年前にこのデュアルクラスについて議論が盛んになったことがある。実は「単元株制度」を用いて実質的にデュアルクラスと同じ効果を持たせることができるのだ。